横村一雄社長は、新聞社のオーナーとしてみずからは横村憲勇と名乗っていた

 大人の男にも矜持と嫉妬はある。しかも、そこに金が絡んでくると、複雑だ。
 横村氏の政治サロンは、保守系の主流である斎藤邦吉・門馬直孝・太田豊秋などの、地元で毛色の良い上流階級に反発する、中流下流の自民党支持者と、創価学会の、そして田中直紀婦人部あたりが、そのエネルギーの中心だ。市議会議員とその支持者が横村政治サロンに集まってきていた。
 実直で働き者の社長は話下手で、それゆえに出しゃばらないが、弱電やアパレルで会社を軌道に乗せ、小さな市議などの成功者と、支持者でスポンサーの横村社長との連帯感が、実に楽しい自由なサロンを形成していた。
 
 

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