門馬氏が初めて市長選に名が出たのは37歳頃である。
 新聞にも出馬の可能性が示唆されたから、本人もじゅうぶん出馬の意思を持っていたということだ。しかし周囲の状況も本人も熟したものではなかった。
 門馬氏は、原町市の旧家油屋呉服店の長男として生まれ、県立原町高校卒。学習院大学英米文学科中退。
 原町市議を一期つとめ、農業委員などをつとめた。これも市長へのステップだったといってよい。
 その一方で、文芸同人雑誌の事務局長をつとめて地元作家の育成に力を尽くすなどの文人肌を持ち彫刻好きは有名だ。読書好きの文化人でもあり文芸雑誌「海岸線」パトロン的存在であった。
 現在の原町市立病院は、中核的基幹病院としての性格を持たせ、原町市、小高町、鹿島町、飯舘村の一市二町一村を主な診療圏として昭和48年に新築されたが、建築後18年も経過し、現代医療の診察に支障をきたし、病院経営上からも非効率な面が多く、駐車場が手狭になったうえ、同地での改築が不可能なため、新築移転が待たれていた。

1990年3月号 政経東北 田中直紀候補の落選で揺れる浜通り政界 現職が独走態勢を固めた原町市長選挙の行方 二上英朗

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