一九八五年四月十六日号の「エコノミスト」で、岩本由輝は「憶説『東北』論―-辺境が自己主張する条件」と題して、ユニークな東北論を展開した。これによると、スペインにおけるカタロニア、イギリスにおけるアイルランド、カナダにおけるケベック等、国内の異質な「東北的部分」を内包するいろんな国があり、近代化のプロセスにおいて辺境として位置付けられていくという世界的傾向がある。そして、東北の自己主張と。強力な独自の文化を確立せよ、としている。
個々の地方の国際交流はあるものの最近の前川レポートなどに見られるとおり、外圧に対して政府のリアクションは、国際化と都市再開発が主柱であり、新しい東京集中志向に傾いている。
東京ー地方という図式から抜け出せないかぎり、地方を活かした国際化は実現できない。
実態が国内植民地であるなら、そろそろ植民地比率のための思想的根拠と豊な文化蓄積がなければならぬが、六十年代から七十年代への徹底的な共同体喪失の時期をネガとしての、まったく新しいポシテイヴな自己主張であってこそ地方を救うことにつながる。
「イーハトーブは宇宙につながっている」と宣言した宮沢賢治の言葉は、東北の閉鎖性ではなく開放系を見出す人々にとって、明るい励ましのイメージを提供する。
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