国宝にも準ずべき泉観音盗まる 大正12.4.25.
犯人は堂守の法師等か
仙台に売られたとの噂
相馬郡高平村大字泉泉観音堂に安置せる十一面観音像は同地の伝説にのこれる泉長者の守り本尊にして八尺三寸徳一大師の作と称せあられ国宝にも準ずべき珍宝として地方人の帰依頗る厚きものであるが同観音像が
何時の間にか盗みだされ仙台方面において売買せられて居るといふ説が喧伝されて居る原町署では秘密裡に捜査中であるが本社の探聞するところに依ると、観音像の紛失したのは去る二月中で之れは同観音の堂守である法師葛西寿昌(4三)が中村町大手先新開清蔵(五三)と共謀して盗み出し仙台市北材木町亀井豊五郎(五二)及伊藤涛三なる
古物商に千五百円で売却し亀井氏等は更に同市大町小野又七なるものに三千五百円にて転売したもので葛西等は仙台の某彫刻師に依頼して偽造を作製して之を安置し何喰わぬ顔にて今日まで過ごしたるものである
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