福島県浪江町のブラジル移民

2014年12月11日 22:04

    どこかで拾ったURL失念

福島県浪江町のブラジル移民に関する資料を探している。

回答

(Answer)

1 福島県浪江町のブラジル移民に関する記載がある資料

・「ムラの欲望」とは何か 清原悠著(『書評ソシオロゴス №8』2012)

http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~slogos/review_sociologos/backnumber.html でお読みになれます。)は

『「フクシマ」論』開沼博著 青土社 2011の書評ですが、その文中『もう一つの相馬移民-日系海外移民百年』高野光雄監修 二上英朗編 動輪社 2010

からの引用として、

浪江町は「単独の町としてはブラジルへ最も多くの移住者を送り出している」

浪江町では「町民の誰もが親戚にブラジル移住者がいる」

浪江町のなかでは「村をあげてごっそり移住した一族もある」

といった記述を紹介しています。

 

この資料の編者の二上英朗は

『原町市史』第11巻 旧町村史 南相馬市 2008 <212.6/142/11> ( 22228472 ) 「ブラジル移民」(p856-859)を執筆しており、註2として

「浪江町は日本一のブラジル移民送り出しの町として知られ、町制三十周年の昭和62年には100人を超す訪伯団を派遣した。」と記載があります。(p859)

 

『もう一つの相馬移民-日系海外移民百年』高野光雄監修 二上英朗編 動輪社 2010には「相馬双葉地方出身者 巻末海外移住者人名索引」(巻末p1-23)が収録されています。

当館は未所蔵ですが、福島県立図書館で所蔵しています。

 

・『かさと丸』日本移民五十年祭委員会 1958 <334.4/35> ( 10849677 )

にはブラジルへの移民船である「笠戸丸」の第1回移民名簿が所収されています。それによると、本籍地が福島県であるのは合計21家族77名(男53、女24)おり、そのなかには双葉郡幾世橋村、 請戸村、すなわち現在の浪江町の人々も含まれています。(p65-67)

明治41年4月28日 神戸港を出発 6月18日 サントス港着 19日サンパウロの移民収容所へ出発 6月29日 福島出身の移民たちは全員ズモント耕地(FAZ・DUMONT)へ出発(p16、38、44-45)、

1958年6月18日現在、福島県出身の第1回移民(77名)のうち13名(男6名)が生存しており、現在の浪江町出身の方も2名含まれています。(p132)

 

『福島県の地名』平凡社 1993 <291.03/127/ 7 常置> ( 20596268 ) p210によりますと、

福島県双葉郡浪江町は

(明治22年)町村制施行により浪江村が成立

(明治23年)浪江村から浪江町へ

(昭和28年)請戸(うけど)村、幾世橋(きよはし)村と合併

(昭和31年)大堀村、刈野村、津島村と合併

と、市町村合併を行っています。当時の旅券等の住所が浪江町でなくても、現在の浪江町に含まれることがあります。明治、大正、昭和前期の資料をお探しの際はご注意ください。

 

福島県単位の統計数値等の記載のあるもの

・ブラジルの日本移民 記述篇 ブラジル日系人実態調査委員会 1964 <334.46/52/ 1 常置>  ( 10850881 ) 「移民の出身地(都道府県別)」p231-235

・ブラジルの日本移民 資料篇 ブラジル日系人実態調査委員会 1964 <334.46/52/ 2 常置> ( 10850899 ) 「出身地(県)着伯年代、移民の種類別」p378-381

・『ブラジル移民実態調査報告』前田昇三編 有斐閣 1955 <334.46/11>  ( 10850436 ) 第1表 府県別計画移民送出表

・「東日本における明治期出移民の実態–明治31年~45年の福島県出移民旅券データから」

吉田恵子著 移住研究29 p74-88,1992 <Z334.6/17>(新聞雑誌室所蔵)

 

2 記載があるかもしれない資料

当館未所蔵のため確認できませんが、以下の資料に記載があるかもしれませんのでお知らせします。

 

浪江町関係(全て福島県立図書館、国会図書館所蔵で所蔵)

・浪江町史  浪江町史編集委員会  浪江町教育委員会  1974

・浪江町近代百年史 第1集  浪江町郷土史研究会 1984

・浪江町近代百年史 第2集  浪江町郷土史研究会 1986

 

福島県移民関係の資料(福島県立図書館、国会図書館所蔵)

・福島県移民の記録1-2(2号で廃刊)  福島県移民史研究会 1978-1979

・大和民族渡伯五十周年福島記念誌:1908-1958  伯国福島県人会 1958

・「出移民研究の課題と方法 : 1930年代の福島県を中心に」坂口満宏著 京都女子大学大学院文学研究科研究紀要. 史学編 -(11) (-),p1-26, 2012

 

・福島県移民史研究Ⅰ 菊池義昭 『東北社会福祉研究10』東北ソーシャルワーカー協会

p122-134  1979

・福島県移民史研究Ⅱ 菊池義昭 『東北社会福祉研究12』東北ソーシャルワーカー協会

p69-78 1981

(ともに宮城県図書館所蔵)

 

3 その他

①国会図書館憲政資料室では、日本各地からのブラジルへの移住者の名簿を以下のとおり所蔵しています(マイクロフィルム資料)。

・『伯剌西爾行移民名簿』(マイクロフィルム全51巻、憲政資料室請求記号 :移(一)-D5)ブラジル移民史料館所蔵の名簿(日本語)

・『ブラジル移民名簿・サントス港到着船舶乗船名簿』(マイクロフィルム全5巻、憲政資料室請求記号 : 移(0)-D1)サンパウロ州社会発展援助省の名簿(ポルトガル語)

これらには、移住者の氏名、生年月日、本籍地または日本での住所地が、移民の回次(船)ごとに家族単位で収録されているようです。詳細は

http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000083133

でご確認ください。

 

国会図書館憲政資料室の利用方法、開館時間等は

http://rnavi.ndl.go.jp/kensei/entry/guide.php でご確認ください。なお、資料を書庫から出納するためには登録が必要になります。上記アドレスに記載がありますので、そちらもご確認ください。

 

②『ブラジル日本移民』丸山浩明編著 明石書店 2010 <334.46/180>  ( 22441661 ) に所収された

「外交史料館所蔵ブラジル日本移民関係史料の概要と今後の研究の可能性」柳下宙子著(p269-289)では、ブラジル日本移民研究に利用可能な外交史料館所蔵史料について、概要を説明しています。

 

外務省外交史料館は一般の方も閲覧ができます。詳細についてはwebページ等でご確認ください。

外務省外交史料館

http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/shiryo/index.html

住所: 〒106-0041   東京都港区麻布台1-5-3

電話:03-3585-4511

FAX:03-3585-4514

 

③海外移住資料館図書資料室では

『伯剌西爾行移民名簿』 発行所:ニチマイという資料を所蔵しています。これは戦前に移民会社が作成したブラジル行乗船者名簿で、1908年(第1回笠戸丸)~1941年(第306回ぶえのすあいれす丸)までで、日本からブラジルへ集団移住した人の氏名などが掲載されているそうです。

海外移住資料館図書資料室は、海外移住に関する約20,000点の参考文献や資料を所蔵しており、一般の方にも開放されています。詳細についてはwebページ等でご確認ください。

 

海外移住資料館

〒231-0001

神奈川県横浜市中区新港 2-3-1 赤レンガ国際館

JICA横浜 海外移住資料館

Tel: 045-663-3257

Fax: 045-211-1781

Web: http://www.jomm.jp/

E-mail: info@jomm.jp

http://www.jomm.jp/library/index.html  (図書資料室)

回答プロセス

(Answering process)

①『福島大百科事典』福島民報社 1980、『福島県民百科』福島民友新聞社 1980で「移民」「ブラジル移民」をひいてみる。項目がたてられていて、概略はつかめるが浪江町に関して特出した記述はなし。

②「浪江 ブラジル 移民」で当館OPAC・国会図書館サーチ・Genii等を検索するがヒットなし

③『福島県史』の明治以降の部分、ブラジル移民関係の所蔵資料に目を通す。県単位の統計・文献(未所蔵)をいくつか発見。

④国会図書館サーチ・Geniiで福島県のブラジル移民に関する資料を検索し、所蔵している

資料に目を通す。

⑤同様に福島県立図書館のOPACも検索

⑥所蔵している福島県内の市町村史に目を通していたところ『原町市史』第11巻 旧町村史に「ブラジル移民」という項があり、その註に浪江町のブラジル移民についての記載があるのを発見。この項目の著者、二上英朗の著作『もう一つの相馬移民-日系海外移民百年』は⑤でヒットしていた。.

⑦『もう一つの相馬移民-日系海外移民百年』、二上英朗をインターネットで検索。「ムラの欲望」とは何か 清原悠著(『書評ソシオロゴス №8』2012)がヒットし、その中に浪江町のブラジル移民についての記述があることを確認。

⑧『福島県民百科』「移民」の中の「南米移民」(p68)を再確認してみると、第1回ブラジル移民の一人の出身地として(浪江)という記述があるのを発見。ブラジルへの第一回移民船である「笠戸丸」の(第1回)移民名簿を再度確認してみるが、本籍地に浪江という記載はなし

⑨浪江町の明治からの経緯を『福島県の地名』で確認し、ふたたび第1回移民名簿を確認すると、現在は浪江町となっている双葉郡幾世橋村、請戸村を本籍地とする人々を発見。

その人々の入植地や、1958年当時の状況についても記載があり。

⑩移民関係の文書、資料を所蔵している類縁機関を確認

  • 渡辺 敏明さん、岡田 雅代さん、Ryo Morimotoさん、他5人が「いいね!」と言っています。
  • 八島 妃彩 ご記述のとおり浪江町の人々は、明治維新後アメリカやブラジルに移民しています。
    これは戦後まで続きました。
    私の親戚にもブラジル移民者がいます。

    母も父と結婚しなければブラジルに移民していました。
    浪江町には満州から引き揚げて津島に入植した者、逆に口減しで外国に移民した者と、時代に翻弄された人が沢山いましたが、今では語り継ぐ人は多くありません。
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