明治28年9月1日民報
○宇多行方郡役所開庁式 去る廿五日挙行したる行宇群役所開庁式の盛況其大略を記すれば大なる緑門と大なる国旗其数十百の球燈は庁舎の四周を装飾し玄関及び各出入り口も亦同様なりき軈て午前八時頃三発の煙火を合図に庁舎の広庭には剣士数十名の試合と大弓の競技あり十時三十分四発の煙火にて指示に移るの準備を為し五発にて一同式場に着席す其重なるは原知事及び随行県属馬場、成田の二氏目黒、田倉の県会正副議長及刈宿常置委員、議員二名、各町村長、各町村議員総代、外山判事、堀江検事、富田警部、赤十字社員、収税分署長及び二円以上寄付金等総員二百有余名、一同の着席するや中村高等小学校生徒諸君君が代を唱ひ原知事の祝辞熊川郡長の答辞、目黒議長、新妻町長、二宮野、野崎両郡議員其の他数名の祝詞朗読及演説あり次に知事より該工事に尽力せしものへ褒賞授与を為す其員数三十名、授与の間ハ終始女生徒の唱歌あり右終りて祝宴に移る時に正午十二時にして献酬談笑各自の歓を尽して閉会を告げしハ午後三時三十分たりしか開宴中は絶へず煙火を打ち揚げたり因に記す新築庁舎に旧相馬藩の城跡、風景最佳なる所にして恐らくは県下庁舎中最好位置を占むるもなるべし
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