〇二十七日。白河Xiracaguaに金曜日〇二十八日。勢至堂Xexindoに、土曜日〇二十九日。若松Bacamechiの市に着きたり。此地を領する王は飛騨殿Findandono〇蒲生秀行。にして、皇帝の長女〇三女なり。の婿なり。王は義兄なる太子の書翰を得て旅舎並に大使及び随員の食事其他必要品を準備せしめ、執政に必要なる物一切を供給することを命じたり。大使は着後其到着を報じ厚遇を謝し、訪問して其手に接吻する許可を求めたり。王は同日狩りに出で獲物を大使に贈らんと欲すれば旅中の疲を休むべしと執政を以て答へ、降雨甚しかりし為め二日間市外に在りて、火曜日〇十一月一日即ち我が九月二十七日。帰り来り、翌日〇フツカ水曜日。訪問することを得べく彼は大に之を喜ぶべき旨を司令官に伝へたり。
此の如き大貴族(註)にして皇帝の女婿なれば必要に迫られて大使は羅紗金襴手袋其他相当なる贈物を携へたり。王は兵士を出し、執政其他の殿達も加はり、多数同行して昼の九時城に着き、甚だ鄭重に迎へられたり。旅行の事又我等の赴く地方の事に付談話したる後我等の国風に調理せる肉を出さしめ、王と司令官は共に一室にて食し、又其二子〇亀千代丸忠郷鶴千代丸忠知
同席し、其習慣に従ひて乾盃をなし、司令官の随員も亦饗応を受けたり。王は食事の間に此の如き時期に其城と市に来りしを哀しむ、何となれば付近の河及び湖の出水せる為め大害を被り、又前月大地震ありて、其城及び市内二万戸以上の家屋破壊せられ、臣民は今其修繕中なればなりと語り、従って如何なる不行届あるもの之を宥し其好意のみを受けんことを請ひ、又地は何故に一年の或る時節に震ふか、又何人が之を震はしめ、その理由は何なるか、若し知りゐたらば告げんことを求めたり。司令官はこれを機とし天いに在す神が天地及び人類を造り給ひ、神陛下必要と認め給ふを説きたり。王は再び此主は何なるかと尋ねたれば、出来る丈其の偉大にして力あることを説きたり。
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