石巻から息子の友人が「東北六魂祭を見たい」と拙宅を訪問し一泊した。学生時代から数度、我が家に泊まっている。わが家も、彼の実家である石巻駅前の旅館食堂に寄ったことがある。
3.11の直後の数日から数週間は、石巻は電気もなくてテレビニュースも見れない状況だった。息子が携帯で、石巻の食糧の配給ある避難所の短いニュースを中継伝達した。
「冷えた、たった一個の硬いおにぎりで、三日間飢えをしのいだ」という。父親が救援自衛隊の車両と正面衝突で突然死んだ、という訃報に接した時は言葉を失った。家族の大黒柱になりかわって、復旧作業員の下宿人を泊め、たくましく働く彼の姿。激励するべき相手から、うちの息子が逆に励まされつづけた。
学生の頃より、ひとまわりもふたまわりも大きく成長したなと感じた。あの津波で悲しい思いをした人は多かろう。つらい思い出を人生もあるだろう。しかし人間を大きく成長させ、周囲にまで感化させる運命もある。災害は大きかったが、神は人間を試すことでおおきく育てる。石巻の青年は、おおきな印象を残していった。
2013.6.2 福島民友
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