中村移城

 末永市議は横村タイヤサロンと日専連原町会との間を往来して、残されたわれわれあぶくま新報スタッフの様子を偵察に来ていた。蝙蝠のような男である。
 そこで彼は例の太田・東・鈴木の三人だけの秘密の盟約について大いに語った。そうしてこの連載をやっているんだと。言いふらしていた。
 しかし4人目のお前末永が、なぜに「秘密の盟約」の当事者のように語るのか。
火発室長の鈴木は、あぶくまの事務所には、ついに訪問したことはなかった。ありまえだ。東個人との間での、そこに太田氏が加わっただけの密談三人組の盟約によって、残骸のような私の編集的中断を待っていたからである。
 平成になって、もとの横村タイヤサロンは、もとのように横村社長主宰の地元政治好きの懇談の場に戻っていた。
 日専連原町会に「開発部長」という大越専務の個人的な肩書のポストの部屋に行けば、東の取り巻き連中が集まれた。末永はその筆頭であったろう。
 ところが、トラブルの当事者の双方の顔色を窺いたくて、がまんができなくなってやってくる人間というのがいるものだ。
 ライト印刷専務は、東に「余った紙があるから」といって、縮刷版の印刷をけしかけた。100号までの縮刷版を作らせておいて、たちまち金が入らなくなった。
 請求すべきは、東主幹のはずだろうが、あろうことか、「あんたが後任者だから、あんたが払ってくれ」「80万円が払えないなら、毎回の旬刊発行の印刷はやってやらない。」と、後任の私を脅迫しだした。
 東と、ライト印刷が導入した東芝の電子製版機という500万円のシステムは、この会社にしかないので、たのむしかないからだろうが、ぼくは、もともと印刷は福島市のキング印刷でやっていた。余った紙の代金はただ。自社のカメラで撮影と製版を、給料を払って雇っている社員を余計働かせて、支払わせるのはあぶくま新報に恩を着せて支払わせ、印刷費80万円の売り上げにする計画である。責任はすべて横村社長ということになるが、横村氏は全くそれを知らない。
 ライト印刷は、「東と密談して作った縮刷版の80万円を支払わなければあぶくま新報の毎回の本紙の印刷を中止するぞ」と、そんな脅迫じみた台詞で、社長と前任者とのトラブルで16万円の現金を持って会社を遁走した東某のさらに80万円の経済的な尻拭いを、それらとは全く無関係の後任のわたしに請求してくるなんて。しかも、わたしはあぶくま新報から、給料というのももらっていない自由な趣味である。
 平成になったとたんに、わが原町の人間模様が浮かび上がった。