模型投炭場
「幹部点呼が終わって、小林安造助役は検査掛詰所へ行った。今日あたりも、また来るかも知れない。注意するようにという話だった。小林さんが去った直後にサイレンが鳴った。
それで、そこにいた連中はみな近くの防空壕へ入った。模型投炭場があったあたりです。
将校が一人来ていて「みんな中へ入ってろ!」と言って、一人だけ外に立っていた。軍刀のつかに手をのせて立っているのだが、ぶるぶる震えてたんで、機関士たちに「あれを見ろ、あれを称して武者震いと言うのだ」なんて言ったりした。
最初はいきなり、給水塔のタンクが機銃で撃ち抜かれた。水が抜けてザアーッザアーッとこぼれた。
爆弾は二発ずつ落とされる。爆発のたびに、ヒュルヒュルヒュルヒュルって唸ってくるんだ。ズズーンという地響き。そのたびにザザーッと砂が落ちてきて、背中に入ってくる。いや、あん時の気持ちほど、ぞおっとすることはない。
飛行機がいなくなったので外に出てみたら、そこへ堀川君が来た。
「検査掛が全滅だ!」って言った。」
林さんはもう一人の指導員門馬徳太さんと共に機関助士たちを引き連れて、検査掛詰所の防空壕へ向かった。
「全部で十人ぐらいだったと思います。私の入った壕は十人ぐらいでした。検査掛詰所の壕は、みると屋根にしていた枕木が二本か三本のこっているだけで、あとは全部潰されていた。右腕が一本だけ、土の上にあった」
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