原ノ町機関庫百年物語

常磐線の開通と原ノ町駅・機関庫の設置によって発展を遂げて来た原町は、機関庫設置とともに100年を迎えた。
原町村が町制を敷いて、原ノ町(はらのまち)となったのは明治30年のこと。翌年の明治31年4月3日、原ノ町機関庫と原ノ町駅が開業し、浜通り地方の交通の要衝となった原町は、当時わずか350戸の小邑でしたが、これを機会に発展の一途をたどってゆきます。
国家の近代は、鉱夫と織女たちによってもたらされる。
日本工業倶楽部の建築の破風には、その彫像が掲げてありますが、近代国家のエネルギ―源である石炭を掘り出す鉱夫らと、織物を織って貴重な外貨を稼いだ織女たちの間には、それらの富とエネルギーを繋いで運んだ鉄道員たちがいる。
明治維新を生き延びて明治初期の黎明期に活躍したわが相馬双葉地方の民権運動かたちは明治10年代と20年代には鉄道誘致の運動に尽力しました。
明治5年の日本初の鉄道布設に贈れること25年。地域開発の要である鉄道が日本全国に布設され、しかしどの地方も開発はヨーイドンの時代でした。
明治31年(1898)から数えて、今年は97年。原ノ町機関区は昭和42年の電化完成で機関庫が解体撤去されて、機関区という組織名称も「運転区」と名を変えました。その記念すべき機関庫設置からあと3年で100周年を迎えます。
華やかなりし鉄道開通の頃の原町を当時の資料によって際限。先人たちの功績の大きさを記録するとともに、鉄道の先輩たちの苦難と栄光を追ってみました。
原ノ町機関区は、わが家の大黒柱の父親が長兄とともに勤務し、人生の中の大きな部分を占めています。
昭和58年に「原ノ町機関区85年物語」と題して、ダイエーカツミヤ店にて大展覧会を実施いたしましてより、機関区の歴史を調査、資料を収集してきました。
100年の概略については、ほぼ資料を収集しましたが、個々の鉄道人の思い出や感慨もまた百年史を飾る重要な要素です。
古き良き時代の鉄道を知る皆様方からご協力を頂きたく、原町機関庫百年史の編纂への協賛をお願い申し上げます。

1995年

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