ミカド型機関車
1897年のはじめに、特異なしかも興味深い形態をした蒸気機関車群が、日本に向けて船積みされた。日本鉄道への納入機がそれである。これらの機関車は低品質炭を燃料として用いるために、十分な容積と深さをもつ火室を装備しうるように設計されていた。これらのい機関車は、旅客用として用いる2B1形(アトランチック)軸配置に加えて、貨物用に用いる1D形(コンソソリデーション)改良機で構成されている。どちらの機関車も、十分な深さをもった広火室を動輪とは切り離した位置におき、従輪上に配する構造を採用する。設計は成功を収め、日本鉄道向けに企画した貨物列車用機関車のデザインは、合衆国においても賞用され、1D1形の軸配置はミカド形とよばれることになった。
世界最大の機関車製造工場と称されるボールウイン機関車工場The Baldwin Locomotive Works が、創業90年を記念して刊行した工場史 History of the Baldwin Locomotive Works,1891 –1920 に、写真入りで紹介される二本から発注の蒸気機関車は2種類にとどまっている。日本帝国政府向け6輪連結タンク機関車として紹介されるのは、いわゆるB6である。イギリス流の仕様で、しかも16両(1904年)、150両(1905年)と大量に受注したのだからむりもない。
問題の機関車が、日本鉄道所属の 常磐炭の京浜地区への輸送に活躍し、国有後は9700形と称された貨物列車用であった事実は機関車史に名高いし、臼井茂信の「機関車の系譜図」にも詳述されている。
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