107 五月二日
鹿島町 神尾千鶴子様
新開学寮 神尾裕
ちいちゃんお元気ですか、四月二十六日の日は中村町へまたそかいをしてきました、ぼくたちのしくしゃへは、十二人来ました。六年生はぼくたちのしくしゃへはきません この間は、畠をたがやしに行きました。これで、二かいいきました。あしたは五年と二年だけで畠にいきます。四月三十日は、わらびを取りに行きました。またこんどお手がみをあげます。
さやうなら
裕 (葉書)

114 五月一九日
中村屋学寮内 神尾千鶴子様
新開学寮 神尾裕
ちいちゃんお元気ですか きのふは、わらびを取りに行きました。西山へ行きました。きのふは、まんがのおぢさんがきて、みんなの顔をかいて、もらひました。ぼくのゑはおふろへはいってるところを、かいてもらひました。今日そのゑをうちへだします。今日は朝から雨がふっていました。けど、おひるごろにやみました。ぼくたちはまい日、ばんごはんをたべてっからにっきをつけてゐます。日ようの日は、おねえさんに見せます。この間はるえおばさんからおもちゃをおくって来ました。では、またお手紙をあげます。
さやうなら
裕(葉書)

117 五月二六日
(裕から千鶴子へ)
ちいちゃんお元気ですか。今日は、せりを取りに行きました。とてもいっぱい取りました。六年生は、川へ魚を取りに行きました。きのふは、けいかいけいほうがでました。五月二十二日の日は、ぼくたちは百しゃくかんのん様までゐきました。わらびや、松かさを取りました。百しゃくかんのん様の中へはいりました。とても大きかったです。そこのそばでおべんたうをたべました。百しゃくかんのん様を作ってゐるじむしょからまきを一人に、一本づつもらってからかへりました。しばも少しもらって来ました。この間は、いろいろのものを、もって来てありがたう。ぼくたちの組の女の人が学校にゐる時もってきてくれました。今日みどりねえちゃんからゑはがきをおくってきてくれました。
この間のけいかいけいほうで、てきのひかうきが新開寮のま上を白いけむりをはいてとんでいきました。
このごろは夜けいかいけいほうがなるので、じょうほうがかりの人だけ。はおきてて、ぼくたちはうはぎをきたまま、ふとんの中へはいっています。きのうのばんはしょくじをすましてから新開寮のすぐそばのうちであま酒を二はいづつとたくわんを五つきれとぱんを一きれとたべて来ました。このおりがみとおにんぎゃうは、はるえおばさんから、てりんと一しょにおくって来たのです。ではちいちゃんお元気でいてください。 さやうなら

五月二十六日

ちいちゃんへ  裕(便箋二枚、封筒欠)

121 六月二〇日
中村屋学寮内 神尾千鶴子様へ
新開学寮 神尾裕
ちいちゃんお手紙ありがたう、この前の、日曜日、海へ行きました。きのふは学校で、中村をわかれる歌をれんしふしました。それから六年と五年生はえきへにもつをはこびに行きました。三年と二年はしくしゃへかへってざがくをしました。
きのふのばんは、わらくじゃうくわいをしました。一ばんはじめに一人づつ歌ひました。とてもおもしろかったです。みかんのかんずめを少しづつもらひました。
今日はけいかいけいほうが出ました。くうしうけいほうが出たけどすぐかいじょになりました。ではちいちゃんお元気で ゝ さやうなら
裕(葉書)

 

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