「ヤクザと原発 福島第一潜入記」鈴木智彦 文藝春秋社2011 /12/20
「原発は儲かる。堅いシノギだな。動きだしたらずっと金になる。これ一本で食える。しゃぶなんて売らんでもいい。俺、薬は大嫌いだからな。薬局(覚せい剤を密売する組織をこう呼ぶ暴力団内部でも侮蔑的なニュアンスがある。)やるくらいなら地下足袋履くほうがましだ。それに原発はあんたたちにふつうに言えば、タブーの宝庫。それが裏社会の俺たちには、打ち出の小槌となるんだよ。はっはっは」 p9「原発は儲かる」
「ヤクザもんは社会のヨゴレ、原発は社会のヨゴレ、原発は放射性廃棄物というヨゴレを永遠に吐き続ける。似たもの同士なんだよ。俺たちは」 p262
暴力団が原発をシノギにできるのは、原発村が暴力団を含む地域共同体を丸呑みすることによって完成しているからだ。原発は村民同士が助け合い、かばい合い、見て見ぬふりという暗黙のルールによって矛盾を解消するシステムの上に成り立っている。不都合な事実を詰め込む社会の暗部が膨れあがるにつれ、昔からそこに巣くっていた暴力団が肥え太った。原発と暴力団は共同体の暗部で共生してる。 p226 227
「俺たちの同僚には被災者が多い。それにみんな自分が働いていた原発でこんなことになったんだから。でも余所から来て、下手すりゃ観光気分だろ。ありがたいけど迷惑と思うときがある」(双葉郡生まれ、自らも被災した協力企業幹部) p227
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