311浪江議会
 その日その時、私は浪江町議会の議場にいた。新年度予算編成の定例会が開かれていたからだ。すると突然、地鳴りのような音がして、ガラス戸や机がガタガタと揺れ出した。「地震だ!」誰かがそう叫んだ。地震はこれまで経験したことがないほど強く、横揺れがひどくたっていられない。片手で机の端を押さえ、体を支えようとしたが、机も揺れ動き支えにならない。両手で机の端を、中腰になって体を支えているのがやっとだった。
 そんな姿勢でどれだけいたことか。長かったような、短かったような。
 「もしかしたら町に大きな被害が出て居るんじゃないか」
 議会は急きょ休会になり、町と議会は情報収集にあたった。
 だが電話もつながらない所が多く、詳細はわからない。そんな中に請戸の港を見て来た人の報告が入った。
 「漁船は多数流されている。港はもうメチャクチャだ。」
 報告は深刻な事態を告げていた。

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