甦る平田良衛 おわりに
 かつての貧困による生活不安に耐えきれなかった人々、並びに昨今の放射能による健康不安に押しつぶされた人々がともに、他地域に移住しているということである。平田は郷里の離村者について以下のように書き記している。

 貧農の移動、離村は殊に最近激しかった。先日私は村のポンプ小屋と火見梯子の下を通り過ぎ昭和二年の寄付金一覧票表を見た。書きとって帰り、現在居住しない人を数えてみたら、十五戸あった。一戸平均五人と見ても昭和二年以降十年足らずの間に七十五人が離村してしまった。恐らく家があっても次男三男の離村者を数へたらふ百名位の離村者があるだらうが、大部分は貧窮の結果であり、村のうちだけでは生活ができなくなったのである。離村先を見ると第一が北海道、第二が都会、その他は樺太、南米、満州等などである。(注90)

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