2012年10月25日 ·

石巻に行ってきた息子の報告

 息子が大学時代からの親友を激励のため石巻に行って来た。かつて我が家に遊びに来たり我が家も旅館業の彼を訪ね、石ノ森章太郎「漫画館」や伊達政宗が建造したサン・ファン・バウチスタ号復元船などを観光し海の幸を満喫した港町。
 「岡の上から町を見た。港は無くなってたよ。漫画館も二階まで浸水して閉鎖されたまま。瓦礫もまだある。復旧の工事の人間ばかり」と息子は言葉少な。
 あの地震と津波の直後に、親友は水も電気もない暗闇を冷たくて小さなおにぎり一個で三日を耐えたという。テレビも見れないからニュースを欲しがっていた。我が家で見た石巻の食料配給のある避難所や空いている店のニュースが出るたびに息子の携帯から逐一情報を彼に知らせた。
 食材の買出しに出た父親が、自衛隊の車両と正面衝突して亡くなった訃報を聞いたのは昨年夏。言葉を失った。
 「来るな。瓦礫で駐車する場所もないし、部屋は労働者で満杯だし、忙しい」と言っていた彼から、やっと許可されて訪問したのだ。
 お土産に鯨の缶詰を貰ってきた。泥の中から回収できたストックだという。(民友投450文字)

追記
 一緒に行きたかったが、土日はいちばん忙しいとのことで、土日しか時間のとれないわたしは遠慮した。息子は日曜の午後から訪問した。仙台の専門学校で調理師の免許をとって、父親の家業を彼が継いでいる。買出しは自転車でするという。息子は、役にも立たぬが、風呂洗いを手伝ってきたという。

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