開拓記念碑文
昭和二十年戦は終わった。緊急開拓の発足と共に私達は此処天王山の一画沢先地内に入植する爾来三十年有余年夢の様に過ぎた。
笹小屋に住み大石を転じ木の根っこと取組み昼夜の別無し一鍬一鍬と開墾を続ける。然し収穫は少なく幾度か挫折に迷ふ昭和二十七年土地の売渡しを受けて自分の土地となるされど苦難は続く。同氏相励まし相扶け情熱を燃やしてひたすら開拓の道に進む。
昭和二十四年待ちに待ったる電気が導入され各戸に電燈がともる。やがて荒地は耕され草地は拓け農用地六十余町歩に及ぶ、大型畜舎鶏舎が点在し乳を搾り仔牛は生れ鶏卵は大量に生産され、ここに永住の地を築く、嗚呼たれか入植当時今日を創造したであらう
この姿を見ることなく他界された同志各位の冥福を祈り不撓不屈の拓魂を子々孫々に伝うて豊かな郷土の発展を祈念し今改めて三十有余年の苦闘を祈念するため茲に開拓記念碑建立する。
昭和五十五年十月十一日
沢先開拓記念碑建設委員撰
福島県会議員 笠原太吉
沢先開拓誌より
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