年間500ミリシーベルト超の地点も
 警戒ちくの放射線量推計値
距離と単純に比例せず
 東京電力福島第一原発から二十キロ圏内の警戒区域では、三月十一日の事故発生から一年間の積算放射線量の推計値が最高で五〇八・一ミリシーベルトと、極めて高い地点があった。文科省が十九日に発表した五十地点の推計値で、最高地点は同原発から西南西に三キロ離れた大熊町小入野。今月九~十一日に地上一メートルで測定した空間放射線量の平均は毎時七五マイクロシーベルトだった。
 推計方法は、一日のうち野外に八時間、木造家屋屋内に十六時間滞在すると想定。今月十二日以降は九~十一日の測定平均値が続くと仮定した。年間被曝限度(単位ミリシーベルト)は一般人が一、原発作業従事者が通常時で一〇〇)、福島第一の緊急時特例で二五〇とされている。五〇〇超はこれらを大幅に上回り、健康への悪影響を否定できない。
同原発から放出された放射性物質のうち、主要なセシウムの半減期は134が約二年、137が約三十年と長い。警戒区域の中でも特に放射線量が高い地域では、現状では立ち入り禁止の解除は困難とみられる。
 警戒区域内の測定地点で同原発から最も近いのは二・五キロ離れた大熊町内の三地点で、年間積算線量推計値(単位ミリシーベルト)はそれぞれ三九三・七、一六九・二、一三四・四だった。線量は単純に距離と比例せず、三月に放射性物質が放出された際の風下に当たり、集まりやすい谷地だったり、付着する草木が多かったりする地域に高い傾向がある。計画的避難区域内でも、同原発から北西に二十二キロ離れた浪江町昼曽根では二二九・九だった。

平成23年8月22日 民報

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