2012年4月21日民報 県の責任は重大
われわれはもう被曝した 緊急時の情報管理を見直せ
「県民の命が懸かっている問題。県の責任は重い」。東京電力第一原発からの放射性物質の拡散を予測するSPEEDI情報の消失した問題。20日公表の県の健勝結果に対し、避難時に多くの町民が被曝した飯舘村、その飯舘村二避難した南相馬市の住民と2町村の首長は怒りをあらわにした。県に冷静な対応や徹底したデータ管理を」求めるなど、責任を追及する声をあげた。
命を何だと思ってるんだ 浪江町長声を荒らげ
SPEEDIの情報が的確に避難に活用しないため多くの町民が被ばくしたとして刑事告発を検討している浪江町への説明のため、県の荒竹宏之生活環境部長、小山吉弘原子力安全対策課長は20日、二本松市の浪江町役場を訪れ、馬場有町長らに謝罪した。馬場町長は「県はずさんな管理で重要な情報を見落とした。われわれ町民の命を何だと思っているんだ」と声を荒らげた。
町は昨年3月12日から4日間、原発から北西の津島地区に役場機能を置いたため、多く野町民が避難していた。馬場町長は「県の危機管理態勢は全くなっていない」と追及した。これに対して、小山課長は「SPEEDIの情報を把握していても情報が断片的で避難には活用できなかった」と答え、町側との隔たりを見せた。
県の調査結果に対し、飯舘村の菅野典雄村長は、県の調査結果について「責任問題を議論していては前に進めない。原因究明は必要で次に生かさなければならず、国、県と協力して今の難局をくぐり抜けていくことに注力したい」と話した。
避難住民 怒り
浪江町津島に避難していた同町請戸の緑郁夫さん(65)は「われわれはもう被ばくしており、もう取返しがつかない。一体、何のためのSPEEDIだったのか」と怒りに震えた。同じく津島に逃れた同町の女性(57)は、「的確な避難指示ができなかった県の責任は重い。命からがらやっと津島地区に逃れた私たちを県は見捨てていたんだ」と非難した。
旧警戒区域に指定されていた南相馬市小高区の江井武夫さん(81)は「原発立地県だからこそ、緊急時に県の冷静な対応が求められるはず」と不信感を示し、「再発防止に努めるのは当然で情報管理と緊急時の優先寿にの把握を徹底して確認してほしい」と要望した。
江井さんは昨年3月12日、広報車で原発事故を知り、同市原町区の馬事公苑に避難した。同所は福島第一原発から二十数キロの地点。着の身着のままで原発から北を目指した。「原町区まで来れば大丈夫だと思っていた。SPEEDIの情報公開があればもっと安全な所まで逃げていたことだろう」と振り返った。