双葉郡不在の中、県庁で会議が続く異常さ

 つまり、SPEEDIのデータはメールで送られたデータのほかにファックスでも送られていた。しかも、県も参加しているOFCでデータが共有されていたのである。本誌の取材に対して、吉田県議は
 「去年の全員協議会の中でのSPEEDIの答弁と食い違うところがある。これから県の説明を聞く所です。県は承知していたんでしょう。(ファックスで送られてきたSPEEDIの画像を)見ていてそういう行動をしているわけだから(画像を)活用しないというか、(国から)活用するなといわれているからでしょう。作為的だということでしょう。避難民は(高線量のところに)わかっていて置かれたということだよ。事実関係は分からないが、ある程度、国と県は合意が出来ていたと思わざるを得ない」
 と不信感を顕わにする。
 吉田県議が「SPEEDIを参考にしっかり対応していれば、若い母親や子供達が心配をするような状況を回避出来たのではないか」と指摘するまでもなく、県がSPEEDIを適切に活用していれば浪江町の住民が被曝することはなかったのである。それは浪江町の避難民だけではない。
 飯舘村に避難した大熊、双葉町の住民も同じように被曝していたことを考えると、殺人的行為を犯した福島県の責任は重大であるといわざるを得ない。
 また、今年の3月14日に開催された2月定例県議会の総括審査会でも次のような事実も明らかになった。
  ◆ 
 吉田県議 原子力防災に当たってはOFCの機能が一定的な役割を担っていくものと思っていた。3月12日には、第一原発の発電所内の安全保安員がサイトにはいない。3月14日には、大熊町のOFCにはいないなど混沌としていたと思うが、県庁に移ってきた。国の指示の下で<OFCが一度機能を立ち上げたわけですが、原子力合同対策協議会が開催された。国、県、安全保安院、関係町村が集まって事故対策を協議されるわけだが、OFCでいつ、何回、誰が出席して開催されたのか。
荒竹宏之生活環境部長 原子力合同対策会議は、12日に2回、13日に1回、14日に1回開催されている。国からは原子力安全委員会、自衛隊などの関係職員、地元からは県、県警察本部、双葉地方消防本部などの関係者が出席し、見に田リングやスクリーニングの実施などについて協議された。構成メンバーである双葉郡の6町村の副町長は参加しなかった。
吉田県議 全体会議の議事録はあるか。
荒竹部長 3月12日から3月14日のzぇン隊会議の議事録は残されていないが、それ以降は議事録概要が残されている。
吉田県議 県庁に移った15日からの会議はどのように開催されているか。
荒竹部長 本日(今年3月14日)までに212回の全体会議が開催されています。
吉田県議 当該町村が出席した回数は何回になるか。
荒竹部長 6町の副町長の参加はございません。
吉田県議 県も重要な会議ですから出席をして対策を講ずるべきだと思うが、県は出席を呼びかけましたが。
荒竹部長 関係町は地震、津波などの対応により、対策会議を構成する町の当該職員が合同会議に参加することは困難だと考え、呼びかけ、働きかけは行っておりません。
吉田県議 いまもなお終息していない状況にあって事故と向き合う上で、この会議の立ち位置というのは非常に重要だと思うのです。国も、県も、保安院、当該町村がさなかして合同会議は大事だと思っています。改めてOFCの再考をすべきだと思う。
内堀雅雄副知事 事故発生の大熊町の時も、県庁に移動してからも6町の福町長が会議に参加すべきではないかと国の事務局に話をし、参加したうえで行うのが本来の合同対策会議の姿であろうと申し上げてきたところです。
荒竹部長 合同対策協議会の在り方のミット氏にちぃてですが、事故発生後、関係兆村との情報連絡手段が途絶したことで通報が不十分であったことなどの教訓を踏まえたうえで、関係町村は緊急時の連絡手段の整備を致しました。また、複合災害発生時の合同対策協議会の構成員や開催方法の在り方の見直しを国に求めてきたところです。
吉田県議 津島地区に避難をして無用の被曝をした避難民は、1年経ったいまもまだぬぐえない。国は14日にはアメリカにSPEEDIの結果を報告している。また、15日の夜には、文科省は浪江町の採石場から数百㍍のところの放射線量が300mSv以上であることを公開している。通信網が途絶しているなら、県庁から津島地区の線量が高いので違う地区への避難を考えましょうと、なぜ、言わなかったのか。それが政治不信なのです。だから、今回の国の避難区域の見直しに対しても信頼がないのです。避難住民が津島地区に避難したことで無用に被曝をしたことで、県は避難住民や被災者に対して説明責任があると思うが、県としての考え方をお伺いします。
(議員席から「殺人的行為だ」との声が…)
荒竹部長 国における一連の情報提供や避難指示の在り方については政府の事故調で詳細な調査・検証が進められているところであります。県としてもこれらの検証結果を踏まえて事実関係を確認・整理した上で、国と連携して関係自治体に経過を説明するなど丁寧な対応に努めていきたい。
(議員席から「何だ、それは」との声が…)
財界ふくしま2012.5月号

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