チェルノブイリに学ぶ③ 3.11から
避難で自治体消滅
 「ベラルーシ政府の人は避難地域の自治体は消滅したと言っていた。国情が違うから単純に比較できないがショックだった」。浪江町議の三瓶宝次さん(75)がベラルーシの平原を進むバスの中でつぶやく。浪江町の中でも放射線量が高い津島地区の出身。町の未来を探りに調査に参加した。

結束が生む発言力 住民主体の再生へ
 三瓶さんはウクライナに入り、チェルノブイリ原発から3キロしかないプリピャチに立った。高層住宅が続く無人の町。老朽化した外観が25年の歳月を感じさせる。「住民がばらばらになればその思いは国に届かない。浪江町は自治体や国に考えを強く伝えるべき。他人任せでは地域主体の再生はない。住民の結束が発言力をうむと、三瓶さんはあらためて思う。

住民の意見に相違
 復興ビジョンを策定中の浪江町は複雑な事情を抱えている。沿岸部は津波被害はあったが放射線量は低く、住民からは「高台移転するなどして先行して住めるのではないか」という声もあがる。一方、山間部の津島地区は東京電力福島第一原発から放出された放射性物質が濃厚に沈着した。「住民の避難先をめぐって意見の相違が出てきている。帰りたい人、補償が確定すれば他の土地で暮らしたい人など参加ざまだ。結束をどう維持するか。「避難は2年が限界。今必要なのは中長期的な目標だ」と三瓶さんは指摘する。
 ただ三瓶さんは侶動くの視察で事故収束の厳しさも知った。「除染しても高い線量の地域の生活はどうなる。国には土地の買い上げなど対策が求められるのではないか」。住民の思いを届けながら国の力を引き出す放射能対策。三瓶さんは道筋の困難さをかみしめる。
共同2011年11月10日

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