3・11 透析患者の一番長かった一日 今野洋一
今日は透析の日だ。
津島地区の透析患者は送迎バスを待っていた。どうもおかしい。車が来ない。皆に相談し、全員で浜の西病院に向かう事に決めた。
出発してみると町の方から中通りに向かう車で大渋滞、我々浜の方向に向かう車は一台もなく、スイスイ運転できた。
西病院に着くと誰もいない。すると原発事故のため休みですとのこと。早速帰ろうと家に向かうと大車列で30分かかるところを4時間かかってやっと着いた。
全員でこれからの事を対策。そのうち診療所の関根先生のお世話で二本松社会保険病院で透析することになる。皆、西の方に逃げろとの事で行動を共にし、全員で二本松に向かう。
マイクロバスの中で、まるで平家の落人と同じではないかと冗談が出るくらい、あまり心配しなかった。
二本松病院で夜間透析。
今日からは4時間のところ3時間。週3回を2回の透析になることを伝えられた。命の事でますます深刻になる。
夜中を過ぎた頃透析が終わり、みな安心した。ほっとした。二本松病院には感謝申し上げたい。
こうしていったん帰ることになり皆疲れた様子で、透析患者の長い一日は終わった。
その後やはり思ったとおり、透析不足のため心不全等で体調が悪くなったり、亡くなる人が出てきた。私も数回救急車を利用した。
宿舎を見たが、段ボール敷きトイレ食事の時には行列ができ、方々で「咳」。まるで地獄を見たようだった。
自分はこのままでは大変な事になると思い、娘宅に連絡。お世話になる事となる。其の後、自分で病院を探し、数か所で透析が出来たが、なかまは皆バラバラ未だに消息不明な人もいる。
私は30代から透析し、40年近くになる。今は須賀川で人生終わりにしたいと思っています。今度の事は人間お互い助け合うこの精神を教えられました。
私が透析でお世話になった病院は、二本松社会保険病院、福島済生会病院、福島医大、南循環器病院、寿泉堂病院、寿泉堂クリニック、鏡石クリニック、蓬莱東クリニック、須賀川病院などです、本当にお世話になりました。
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