バスに揺られて郡山へ移動する。郡山駅から空港への臨時バスは出たばかりだったので、近くのタクシーを捕まえた。これから関東へ向かうことを話した。
「俺が実際に運んだわけじゃないんだけどね、同業者の話によると、福島から乗るお客さんで、那須塩原まで行く人もけっこう多いみたいだよ。ほら、あそこ、東北新幹線が復旧しただろう」
いい話を聞いた。
福島空港は人でごったがえしていた。キャンセル待ちの列に五百人ほどが並んでいる。チケットも、東京どころか名護屋や大阪までまったくとれない。
これはダメだ。
もう一度タクシーを拾って、那須塩原へ向かう。すでに夜の十一時を回っていた。
駅前のホテルは予想通り満室だった。私はあきらめて那須塩原駅の待合室へ向かった。
寒い、寒い、全身の震えが止まらないほど、寒い。
高原の地平線が金色に染まった明け方、私たちは始発の新幹線にすべり込んで東京へ発った。
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