謹啓 小川尚一さま
 いよいよ春爛漫の季節が到来し、まさに桜を楽しむ侯と相成りました。貴職におかれては日頃市政に多大のご精進を頂き、敬服いたしております。先達ては「コスモス・カフェ」第一回のイベント講演に来訪のうえ、激励を賜りましてありがとうございました。また、311体験記を頂きネットで紹介しましたら、要望が寄せられたので、郵送しました。手元にはcopyを残してあります。これを参考に、こんご311震災記録の編纂に役立てようと考えております。
 振り返れば2011年の春に桜を楽しんだ記憶がなく、こころおだやかに草花を眺めた記憶も、風物を楽しんだ想い出もなく、ただ異常な惨事に対する苦い記憶と、次から次へと知人友人の死や高齢の肉親の死去をぼう然と見送ることしか思い出せません。
 故郷南相馬市が、地震津波と原発事故とに蹂躙されて、必死で必要な情報を求めてネットや電話で一喜一憂しながら、事故対応の行方を見守った数年でした。このたび事故5年を契機に、心理的に一段落し、避難命令の下った小高区および磐城太田の一部の20km圏への避難命令解除とこれに伴う帰還者への支援急務となっております。
 そこで昨秋より、日頃の仲間相諮ってグループ「ふっこうステーション実行委員会」を結成し、おりしも市当局の復興支援プロジェクトに民間応募いたしまして認可されました。
 小高支所の根本剛実職員のご指導を頂きながら、浮舟会館などで、講演会や写真展、町歩きワーキング・ショップなどのイベントを開催しております。
 その第三回のイベントは、5月21日(土)にNPO「おだかプラットホーム」にて13:30~「特急ひたちを語ろう」と題して、常磐線の開通に合わせて、想い出にむすびついた町の暮らしをふりかえり、しばしの憩いの場を提供してゆこうという趣旨です。
 4月1日の福島民友新聞の投稿欄「窓」に投稿した拙文に集約いたしました。
 南相馬市民の間に、昨年来、特急ひたちをめぐる話題は高く、3月15日の撤去のニュースは、少なからず市民感情を刺激し、あれを災害遺産として、復興の象徴に保存できなかったか、などの意見を多く寄せられました。
 しかし解体を前提にした撤去で文化財のアイデアは無くなったものの、JR東海に改造車両が運行されますので、JR東日本との連携で、営業運転の特別運行によって、開通後の沿線住民に元気をもたらすことは可能と考えております。民間の営利企業に対しては、東海首都圏から、また地元からも、相互乗り入れで被災地と他地区を結ぶ交流の絆ツアーの実現を目指して呼びかけております。
 小川さまにおかれても、なにとぞ「ふっこうステーション」の活動趣旨にご賛同ご助力を賜りたく、レジュメをお送りいたします。  敬白  

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