「アルプス」が崩れた! 浪江町に困惑と焦り
円高リストラの波をモロにかぶって工場閉鎖

 アルプスが崩れた。連休に入る直前の四月二十七日。福島圏内に五か所の工場・事業所を持つ電子部品の最大手であるアルプス電気(本社・東京)が、子会社の東北アルプスも合わせて、勤続一年以上の社員を対象に、従業員の一三%にあたる千三百人の希望退職者を六月末まで募集すると発表した。
(略)
用地交渉が進まない浪江小高原発
 四月七日には、電気事業法に基づく東北電力(株)の平成五年度電力施設計画が通産大臣に届け出された。
 設備投資総額は五〇五三億円で、前年度実績(推定)を七・三%上回る過去最高。このうち福島県内部分は全体計画の二〇%を占める。これは原町火力一号機、送変電の増強計画が集中した結果、また東京電力との広域開発や広域融通などで、相馬双葉幹線が本年土着工、原町火力線、新地火力線、南相馬変電所増設などが勧められる。
 施設計画概要によると、原町火力発電所一号機については平成六年二月に着工。平成十年七月に運転開始予定。昨年の施設計画と変わらないが、浪江小高原発(八二・五万キロワット)は用地交渉が進まず、また一年繰りのべされ十年度着工。試運転開始は十五年以降とされた。
 計画概要には「浪江小高原発についても鋭意開発を推進する」として、今後二十四人から二十八人体制にして電池の用地交渉も強化される。
 一方、順調な相馬共同火力発電(新地町駒ケ峯字今神、重光秀徳社長)が総工費約六三〇〇億円を投じて相馬中核工業団地東地区に建設を進めている新地発電所への、石炭船第一船の入港日が八月十一日と決まった。ボイラーの火入れは九月に、試運転は十一月に予定されている。
 火の消える町もあれば、火入れされる町もある。

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