木村英昭「官邸の100時間 検証 福島原発事故」

第2章 3月12日(土) 原発爆発 
p107 決意 「爆発、放送しよう」

福島中央テレビの無人カメラが捉えた煙
 三月十二日午後三時三六分、1号機が爆発した。それに気付いたのは、地元福島のテレビ局、福島中央テレビ(FCT)だった。
 福島中央テレビは、福島第一原発の南南西一七キロの山中に無人カメラを設置していた。第一原発と第二原発を二四時間監視できるようにしてある。JCO事故を受けて二〇〇〇年に設置した。国内でも原子力事故が起こり、一定の範囲が立ち入り禁止になることを認識したからだ。この監視カメラは今回の地震の影響で遠隔操作が不能になってしまったが、レンズは福島第一原発を向いていた。福島第二原発や太平洋などを撮影するためにアングルを変えた場合でも、その後は必ず老朽化が進んでいる第一原発に戻しておくという設置当初からの現場ルールが一〇年以上守られていた。
 福島の中通りにある商都・郡山市—.その中心部にある福島中央テレビ本社一階のニュースセンターに「編集卓」と呼ばれる一角がある。ここに監視カメラが撮影した映像が送られ、ハードデスクに溜められていく。ハードデスクには二四時間分の映像が溜められる。この映像は小さなモニターで見ることができた。ハードデスクにたまった映像はすぐには放送につかえないので、通常はハードデスクから「VTRテープ」や「収録編集用デスク(XDCAM[)」にダビングして編集する。急ぎの場合はダビング作業の手間を省くため、ハードデスク収録と同時並行して「VTRテープ」や「収録編集用デスク」に収録し、そのまま「編集卓」で編集して、ニュースで使う映像に仕上げていく。
 たまたま「編集卓」を通り掛かったチーフカメラマンの箭内太の目がミニタ―画面に止まった。
 うっすらと煙が出て居た。
 「何だ、この煙は」
 爆発の四分前のことだった。

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