ザ・ドーム

事実は小説より奇なり
 怪奇小説の巨匠スチーブン・キングの「アンダー・ザ・ドーム」のTVシリーズ2全巻を見終わった。
 ある日、アメリカの地方都市に突如出現した直径16kmの透明なドームに閉じ込められてしまった人人の物語。
 よくもまあ色んな面白い状況設定を考えられるものだが、作家自身が第一回の脚本も書いて現場で説明して制作するというMaking videoも収録つきというDVDならではの御愉しみだ。
 コートームケーなトーリーを楽しめばよいのだが、ある見えない不可解な物質の透明な壁の存在は、外との連絡を遮断してしまったという奇想天外伝奇
 これはやはりどうしても、わが故郷南相馬を襲ったげんぱつ事故禍で政府によって隔離され続けた状況を思い出さざるを得ない。
 第四話に、すでに外の軍が、核ミサイルでこの不可解なドームごと粉砕消滅させてしまおうとの政治的決断で、アメリカらしい乱暴なドラマ展開になる。
 その情報を知って、内側の人々は最期の瞬間をどう過ごすのかという選択が面白い。地元のラジオ局のDJは「End of the world」という、かわいらしい少女歌手が歌うのどかなカントリー・ラブ・ソングを選曲して、これが実に残酷な状況設定にマッチしすぎていて、雰囲気をよく出していた。キングは、作家として作品を創造する「神」となり、テレビ局スタッフは、あらゆる奇抜な場面コンテを、リアルな特撮映像に仕上げてしまう。TVならではの醍醐味である。
 南相馬市の中央に位置する原町区は、縦横すなわり南北10km掛ける東西20kmぐらいのほぼ200平方kmの面積だから、町ひとつがすっぽりと入るぐらい、このドームの大きさによく似て居る。山あり、海あり、田舎の小都市としては申し分のないロケーションで、キングが好みそうな、東海岸のメイン州あたりにもありそうな町のような気がする。
 最も、テレビ写りの良いラジオ局鉄塔だの、インターミッションの給水塔などのポイントは、じっさいにある現物を借景したという。
考えてみれば、自分が故郷原町の100年史という地方の郷土史として、箱庭のような小天地に繰り広げられる歴史のできごとを書き連ねているのも、キングの架空の町のお話づくりに酷似してないこともない。
 とくに、311という大地異天変の地震と津波と原発の爆発という複合災害が襲来し、650人という犠牲者を出しただけでも大変な事件なのだが、加えて南に隣接する福島第一原発が事故を越して以来、警察と自衛隊によって閉鎖隔離され、隔絶された状況は、まさにSFかサスペンスだった。
 その内部のひきこもごもだと思えば、シーズン1、2の2クールのテレビ連続ドラマのようでもあり、それがもう5年もロングランである。
 事実は小説より奇なり。