健さん映画と青春の朝日座よ永遠なれ
かつて東映映画の常設館であった南相馬市の原町朝日座が国の指定文化財になって一年。
網走番外地や唐獅子牡丹などで一世を風靡した高倉健さんの雄姿も、この銀幕で上映された。
テレビ出現前の戦後黄金期に地方最大の税収だった映画興行税は十割。入場料と同額の税金を支払って、庶民は唯一の娯楽の殿堂で貧しい日常から逃れたが、輝くような青春があった。
高倉健は高度経済成長の時代の、日本人が置き忘れた伝統美と、忍耐と献身を体現するスターだった。
1958年には最大188館が県下に存在した。時に文化財は、個人の営為と信念で保存される。
梁川町から福島市民家園に移築された広瀬座が荒川家によって、本宮市の本宮劇場も有志の手で百周年を迎えたように、朝日座は南相馬の株主たちが組合立で創建し、布川実、義雄、雄幸の三代館主が90年間守り通して残った。
名優は世を去ったが、田舎の映画館の思い出は青春とともに永遠である。
大正の近代建築として映画館も文化財と認められ、これを残した民間の努力と情熱があらためて再評価される。
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