8. 斜陽の中で孤軍奮闘
50周年と60周年の間に

 昭和46年には朝日座開館50周年の記念事業が行われ、50周年記念誌「わたしと朝日座」が発行された。
12月4日(土曜日)は午後1時より、5日(日曜日)は午後3時まで、原町市体育館を会場に、思い出の映画ポスター展と、映画音楽レコードコンサートを主催朝日座、協賛タカノ楽器で開催した。
展示したポスターは、監督ごとの作品別に飾られ、高峰秀子主演、成瀬巳喜男監督の「稲妻」や往年の「あばれ振袖」「山椒太夫」「月形半平太」をはじめ「路傍の石」など邦画200枚。洋画は「ローマの休日」「さらばアフリカ」「クリスマス・キャロル」など。

「ルポこの人」朝日新聞 46年12月1日
〔布川さんは車を走らせる。隣町の小高、鹿島へ。次週のポスターはりのためだ。トンボ帰りのあと、館の窓口で入場券を売り、背中の売店の客の注文をさばく。映画観客は全盛の昭和三十四、五年ごろの四分の一に減った、といわれる。映画館の”だんな”の働きぶりは、そのまま「映画館」の生きる苦悩だ。
だが信じて疑わない。戦後の映画は、すべて大衆の文化を支えてきた、と。たとえば—。
今井正監督の「青い山脈」(昭和二十四年)に続く文芸作品。吉村公三監督の「源氏物語」以下王朝物。黒沢明監督の「野良犬」(同)など社会派作品。
将来もこうでなければいけない。映画館主は、さしずめ文化の媒体だ。興行主とは違う。だから、市の中央に広い面積を有し、観客が一日平均百人でも、館をボウリング場やスーパーマーケットに衣替えする考えはない。〕

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