原町高校でみた映画

 「躍進 原高五十年の歩み」によると、原町高等女学校の戦後最初の映画鑑賞は昭和21年で「麗人」だったという。原節子主演。
昭和22年「路傍の石」23年「戦争と平和」「千鳥」「第二の青春」などを鑑賞した。
相馬商業学校では昭和22年に初めて「スポーツの祭典」(ソビエト色彩映画)「新馬鹿時代」23年「にんじん」(フランス)など。
昭和23年には新制原町高校が創立され、原高新聞が創刊され、朝日座の広告も登場する。原町高校の創立50周年記念誌「躍進 原高五十年の歩み」あるいは原高縮刷版などから拾ってみると、戦後の原町で上映された映画の断片が判明する。
〇昭和23年5月19日には原町で「巨人ゴーレム」が上映され原町高校の映画会として記録に残っている。同10月27日に朝日座で「あの歌この歌」上映。
〇昭和24年10月3日には(講堂で)アメリカ宣教団によるキリスト教映画。11月28日には「日本敗れたれど」が原町で上映。ドキュメンタリー作品。
(原高新聞第5号広告・6月1日)今月の推薦映画「お嬢さん乾杯!」松竹大船作品、単純で野人的な青年佐野周二と名門生れの淑女原節子の恋物語を破戒以来の木下恵介のメガホンによる都会風な喜劇・封切り三月十四日、旭座 上映 六月十五日 十六日
(原高新聞第6号広告・7月1日)
大映大作野心篇・菊田一夫原作「堕胎医」より 「静かなる決闘」監督黒沢明・主演三船敏郎・三条美紀 上映7月19日・20日
〇昭和25年5月18日「暴力の街」朝日座
7月3日「野良犬」
9月26日「忘れられた子等」朝日座
12月4日「赤い靴」
(原高新聞第11号広告・6月30日)
野馬追祭特選映画7月10日~3日間「城ヶ島の雨」12~13日「憧れのハワイ航路」14~3日間「放浪の歌姫」映画ハ大映
(原高新聞第12号・8月7日)
「野良犬」合評会掲載
〇昭和26年1月17日「長崎の鐘」朝日座
1月26日「天国の階段」
3月20日「帰郷」朝日座
6月19日「善魔」
9月11日「少年期」
9月20日「自転車泥棒」
10月31日「黒水仙」
(原高新聞第16号・2月20日)
「羅生門」合評会掲載
(原高新聞第17号・5月7日)
「帰郷をみて」合評会掲載
(原高新聞第19号・8月10日)
映画手帖「バンビ」
(原高新聞第20号・10月31日)
朝日座・原町劇場広告
23・24日堂々上映「月世界征服」(26年公開) 続く大作・・・「鞍馬天狗・死闘の銀山」。同紙面に映画手帳「自転車泥棒を見て」
〇昭和27年2月11日「麦秋」
3月5日「レベッカ」朝日座
5月24日「ヨーロッパの何処かで」(27年公開)朝日座
9月13日「マクベス」朝日座
9月19日「山びこ学校」朝日座
10月4日「明日では遅すぎる」朝日座
(原高新聞第22号・1月23日)
旧正月の映画は是非おいで 旭座・原町劇場 近日上映「鞍馬の大祭」25~28日「紅涙草」29~31「佐々木小次郎」27~28日
(原高新聞第24号・5月6日)
映画評「命うるわし」
(原高新聞第25号・6月28日)
セントラル劇場七月上映題目「今宵よ永遠に」「バグダッドの盗賊」「地球静止する日」「二世部隊」(2本とも27年公開アメリカ映画)「ジョルスン物語」「サハラ戦車隊」「イヴの総て」
〇昭和28年1月26日「ドイツ零年」(27年公開作品)朝日座
(原高新聞第28号・2月12日)
「慟哭」「稲妻」「砂漠の鬼将軍」
映画評掲載
(原高新聞第31号・7月20日)
ヴェニス国際映画祭受賞作品 総
天然色「河」(フランス映画。ジャン・ルノワール監督)新東宝映画「憲兵」20・21日 ドイツ映画フォルトの最高傑作 主演ヒルデカルト クネーフ「罪ある女」24~25日 原町映画劇場(Tel 16)
(原高新聞第33号・12月15日)映画評「セールスマンの死」
〇昭和29年1月20日「ひろしま」(日教組プロ作品。長田新著「原爆の子」より脚色。)「宇宙戦争」
3月19日「にごりえ」(28年公開・新世紀映画・文芸座提携作品。演出今井正)
4月22日「風と共に去りぬ」
10月21日「二十四の瞳」(松竹大船作品・29年公開。脚色演出木下恵介。主演高峰秀子。ベストテン第一位。2億3000万円の配収をあげた)
11月18日「ともしび」
(原高新聞第39号・12月3日)
「山河遥かなり」映画評
〇昭和30年1月29日「グレン・ラー物語」
2月2日「只見川電源開発」朝日座
3月17日「ヒロポン映画」
4月27日「ダンボ」「警察日記」
〇昭和31年6月21日「夜間中学」「刑事部屋」(定時制対象)
11月2日「リチャード三世」原映
(原高新聞第46号・5月25日)
「東映 大地の侍」映画評
(原高新聞第47号・7月20日)
「米映画 ガラスの靴」映画評
(原高新聞第48号・10月11日)
「松竹映画 青春の音」映画評
〇昭和32年
(原高新聞第49号・3月1日)
イーストマン松竹カラー総天然色
「歌う野次喜多黄金道中」三日~五日 イーストマン東宝カラー「空の代怪獣ラドン」
(原高新聞第50号・3月20日)
中央映画劇場20~23日 総天然色シネマ・スコープ「慕情」
ゴールデングローブ賞受賞 木下恵介監督「太陽とバラ」24~26日 世界の巨匠 黒澤明「蜘蛛の巣城」「哀愁の園」22日迄前売券発売中 学生当日券100円 前売70円
(原高新聞第53号・12月17日)
中央劇場24~26日「高校四年」日活青春スター出演 総天然色メトロスコープ「野郎どもと女たち」マーロン・ブランド主演

 記念すべき「戦争と平和」

 戦時中は封殺されていた自由と平和を求める声が、敗戦によって噴出した。昭和23年に原町高等女学校で「戦争と平和」を見たという。映画界において、最初に時代の風を吹かせた一作が山本薩夫監督と亀井文夫監督の「戦争と平和」である。
〔一九四七年五月三日、日本国憲法が施行された。敗戦とともに見本を占領したアメリカ軍は、当時の日本映画三社(松竹、大映、東宝)に憲法記念映画の製作を指示、東宝には憲法第九条の戦争放棄のテーマが与えられた。〕(山田和夫「現代映画史」戦後40年の軌跡)
共産党に入党した山本と、戦時下で上映禁止と逮捕で弾圧された亀井が手を組んで、占領軍の指示で、というのが時代を感じさせる。
「戦争と平和」東宝作品。脚色八住利雄。演出山本薩夫、亀井文夫。撮影宮島義男。主演伊豆肇、岸旗江、池部良。二人の帰還兵とその妻を主人公にし、太平洋戦争の欺瞞と庶民の惨苦をリアリズムで描く。劇と記録映画の巧妙な融合と、ニュー・フェイスの大胆な起用にも成功した。昭和22年7月10日、日比谷映画劇場ロードショー)
「第二の青春」東宝映画。脚色八木保太郎、松崎与志人、演出関川秀雄。撮影木塚誠一。主演山本聡、岸旗江。浮浪児の問題を扱う。昭和22年2月3日)(発達史)

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