原町女学校で見た映画
平成元年に発行された「躍進 原高五十年の歩み」には、大正15年の創立した原町女学校と昭和14年に創立された相馬商業学校で、学校行事として映画鑑賞した題名が列挙してある。
〔映画鑑賞は、旭座、原町座で年二回程度行われたが、午後の時間が当てられることが多かった。映画のタイトルで主なものは「ザンバ」(昭和4年)「アフリカ物語」(昭和8年)「ナガナ」(昭和9年)「にんじん」(昭和10年)「ターザン」(昭和13年)「美の祭典」(昭和16年)である。昭和十年代に入るとその内容は、国民の士気高揚を図る戦時色の濃いものとなっていった。昭和十年代以降は「乃木将軍」(昭和10年)「白衣の勇士」(昭和14年)「土と兵隊」(昭和14年)などを鑑賞し、昭和十六年には、海軍軍事映画「勝利の歴史」「西住戦車長伝」の三本を鑑賞、翌十七年には「ハワイ攻撃」を見に出かけている。〕
「ザンバ」は英領東アフリカの奥地に四年間カメラを据えて、猛獣生活の実態を撮影した記録映画。全国的にヒットした。昭和4年作品。
「ナガナ」は、野口英世のそっくりさん俳優森田幹が、アフリカの眠り病を研究するという物語。アメリカ映画だが、日本では国威高揚のため上映された。昭和8年作品。
発達史では野口博士の伝記映画としているが、野口記念館では否定している。(野口英世生誕百二十年記念写真集)
「にんじん」ジュール・ルナール原作の小説の映画化。フランス作品。東和商事は空前の配給収入を得た。昭和9年公開。ベストテン第三位。
「美の祭典」ベルリン・オリンピック記録映画「民族の祭典」の第二部。
日本水泳選手前畑秀子の入賞場面に人気が高まった。昭和15年公開。
「勝利の歴史」原題は「西部戦線の勝利」マジノ要塞やダンケルク、パリを占領するシーンや、凱旋門からシャンゼリゼ大通りへのパリ入場行進など第二時世界大戦初期のドイツの勝利を描いた。(岩波「日本映画講座」)
「土と兵隊」日活多摩川作品。原作火野葦平。脚色陶山鉄、笠原良三。監督田坂具隆。撮影伊佐山三郎、横山達之。主演染井四郎。大陸ロケ作品。文部大臣賞受賞。昭和14年10月14日公開。
相馬商業学校で見た映画
〔戦前の「マレー戦記」(昭和18年)「決戦の大空」(昭和19年)神風特別攻撃隊映画(昭和19年)といった戦争を取り扱い、戦意を鼓舞する映画を多く鑑賞し、年に二、三回は原町座や旭座に出かけている。〕
「決戦の大空」は、「決戦の大空へ」のことだろう。東宝映画砧作品。脚色八住利雄。演出渡辺邦男。撮影河崎喜久三。出演高田稔、原節子、小高まもる。土浦海軍航空隊予科練習生を、時代のホープとして描いた戦意高揚映画。(昭和18年9月16日、白系)
「神風特別攻撃隊映画」とあるのは、劇映画でなくニュース映画であろう。