昭和初年の旭座にて

 大正15年2月4日民報によると「相馬出身の植村大佐が肝入 海軍映画 浜三郡で公開」とある。  鹿島町出身の横須賀鎮守府第二駆逐隊司令の海軍軍人植村大佐(のち代議士)が前年、カムチャッカ方面に航海の途中、原釜に寄港した折り、艦内を開放した。さらに福島県にかけあって15年、海軍士官を募集中の折から鎮守府人事部が「艦内生活を」撮影した活動写真を巡回上映した。
昭和2年1月19日朝日新聞福島版では次のような社告がある。  〔当社はこのたび大行天皇崩御御前後の葉山その他における悲愁に充てる模様を謹写した国宝的記念映画を完成しましたので昨年来不例につき遠慮中止した左記各地において一般的映画と併せ上映公開する事に致します  無料入場券は各地販売店より  呈上 二十日タ六時より富岡町 二十二日小高町 二十三日太田町(注。村ノ誤リカ) 二十四日原ノ町 二十五日鹿島町 二十七日新地小学校〕  いわゆる大正天皇の崩御を報ずる活動写真ニュースである。  またこの年8月の産業教育映画が原町旭座で上映されている。  「鳴り物入りで安全週間の予備知識を映画やポスターで宣伝」との記事の最後に旭座の名が出てくる。(昭和2年8月5日朝日新聞福島版)  〔十月二日から一週間全国的に実施される工場安全週間の予備知識普及のため県保安課では活動写真会を開くに決したがその日割は左の如くで講演および説明は藤東工場係主任当りフィルムは工場協会提供の工場保安、衛生等の主旨を織込んだものである尚この活動写真会終了後、更に県下各工場で宣伝、ポスター掲示、講演、工場主および工場従業員、心得の印刷物配布等を行ふはず(中略) ▲十四日相馬郡原ノ町、旭座〕  この災害防止映画の上映に関しては昭和2年8月16日福島民報に、次の記事がある。  〔宣伝活動写真本県工場課主催工場災害予防宣伝活動写真会は十四日午後六時より原町旭座に開催観客一千余名盛況を呈した〕と。  この当時、原町には雲雀ケ原の一角にあった原町紡織工場や、多くの製糸工場に女工さんたちが働いていた。防災映画であっても活動写真の珍しさで1000余の観客は映画館で映画を見ることを楽しんだことだろう。
●県会議員選挙の政見発表演説会場になった旭座  昭和2年9月17日の朝日新聞。 〔太田秋之助氏の政見発表演説会は十五日午後一時から原町旭座に、…釘本衛雄氏の政見発表演説会は十五日午後一時から浪江町浪江座に開催」とあり、当時の県会議員選挙の様子を伝えている。〕 ● 原町便り 〔演劇場旭座には現代劇恋、特別興行として奇傑武蔵、吹雪を衝いで、木曽八幡、英雄キートン等の映画を以て人気を吸引すべく計画中である、一方原町座では小関興行部の武悪の面、極楽島の女王、現代劇お艶殺し、特種映画熊本水害実況等を上映して人気を得んと暗に競争をしてゐる〕(2年8月14日) ●「原町体育映画会 相馬郡原町体育協会は今夏農林省が出張撮影した野馬追活動写真の封切を兼ね体育映画会を八日午後六時から原町旭座に開催すると」(11月8日朝日) ●相馬支局主催活動写真大会 〔本社相馬支局にては今回創刊を祝し併せて業務の拡張の資せん為め鹿島小学校開校式を機とし十六七の両日に亘り原の町旭座一行を招請して鹿島東座に於て活動写真を開催し但野美峰氏及び支局主任星氏の挨拶あり観衆場に充ち非常の盛会であった〕(昭和2年)  12月16日朝日。「ハーモニカ・ソサエテー主催の新春演奏会は一月七日同町旭座で開く」

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