日本国憲法は福島県産である。南相馬市(旧相馬郡小高町)生まれの、相馬中学の出身者で憲法学者の鈴木安蔵が民間憲法研究会の代表で草稿を書いた。それを新生文部省と理想家を日本に送り込んだGHQが共感し採用して発布施行したのだ。
憲法は人類史上稀有の空前絶後の70年間の平和と繁栄をもたらした。
昭和初期から政治的に弾圧された安蔵は大学の教職を阻められ生計の資が絶たれた貧困を、郷里から仕送りして助け支えたのは、実家の姉の鈴木瑛(てる)さんだった。
上京進学して古書店で求めた昭和十年代の安蔵の著作は、伏字だらけの検閲本で、自由な学問が禁止された時代の苦悩に慄然とした記憶が強い。
戦後の新憲法制定の経緯と安蔵の生涯が主題の伝記映画「日本の青空」にも、きちんと描かれていたのを見た時、高校生時代に女流歌人俳人の瑛さんに会ったことのある私は感激した。いまはさらに誇りをもって、敬意をもってそのことを訴える。
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