権藤貞雄 最後の手紙　６５戦隊　昭和20.4.20. 沖縄で戦死

権藤貞雄　昭和元年、福岡県西新町高取生まれ　熊本県虚空乗員養成所　鉾田・平城・原町・知覧
第６５戦隊　昭和20.4.20. 沖縄で戦死
園田陽一郎大尉機と共に、沖縄飛行場を攻撃作戦に参加。

最後の手紙
原町が本当に懐かしく想出されてなりません。
先日は添田君と短時間ではありましたが、昔話にふけって嬉しくその一時をすごしました　彼も元亀にてがんばってやって居りました。
案外筆をとると何も書く事はなく而も乱文乱筆の走り書きになって寔に申わけありません。擱筆に際し皆々様の御健闘を御祈り致します。
加藤美喜子様

愈々原町を去るとなると何だか胸苦しく想はれてなりませんでした。愈々お別れと言ふ時になって皆様の御蔭に依りまして面会出来ました事は望にかなへて非常に嬉しく思って居ります。
当地に来て故郷に近くなったとは言へ、何だか心淋しく思はれてなりません。然し我々
通性にて致し方なきものとあきらめるより仕方ありません
楽しき一時、愉快な一瞬を思ひ出すだけでもなつかしく思はれてなりません。
再びかくの如き時代は来ないでせう。
いろいろと述べ度いことはありますが、何だか愈々筆をとつとなると書けなくて、もっと落付きましたならば亦、御便りすることに致します。
節子、照子様達にも何分宜敷く御伝言願ひます。美喜子さんは何分体は弱いですからね、無理してはいけませんよ。
つまらぬ者ながらお祈り申上げます。
佐賀県　権藤貞雄
原町本町　松永時雄様
ｐ４８０