冷たい十二月の風の吹き荒ぶ日
荒川の河原の露と消えし命
母と共に殉国の血に燃ゆる父の意志に添って
一足先に父に殉じた哀れにも悲しい然も笑っている如く
喜んで母と共に消え去った幼い命がいとほしい

父も近く御前達の後を追って行けることだろう
厭がらずに今度は父の膝に懐でだっこして
寝んねしようね
それまで泣かずに待っていてください
千恵子ちゃんが泣いたらよく御守りしなさい
では暫く左様なら
父ちゃんは戦地で立派な手柄を立てて
御土産にして参ります
では 一子ちゃんも千恵子ちゃんも
それまで待ってて頂戴

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