国華隊 加藤俊二

茨城県古河乗員養成所十一期生
64振武隊国華隊員

遺筆

懐かしいお便り有難うございました。遠く離れた九州で齋藤より受け取りました。小生も井上氏も原町の臭ひがするとて大喜びです。小生達一同大元気です。横田一人飛行機が悪くまだ大阪に居りますが今日あたり来ることでせう。
魚本の連中は昨日此の地を元気よく南に飛び去ってゆきました。小生達も今日か明日かでせう。
お尋ねの小生の飛行機しごく好調で頭痛もまだ一回もしていません。御安心ください。当方も慰問の総攻撃でさあすがの小生もたぢたぢです。一日に八組も来ては全くたまりません。夜ともなれば川辺に蛍が飛び交ひいささか郷愁を思わせます。
閑話休題
小生初めて参上してより出発迄親身に優る御愛情をいただき深く深く感謝致すとともにお言葉にあまへていろいろと祖母様母さま兄さまも近頃お元気がないとか、一同心配致して居ります。小生等は皆元気だとおつたへして励まして上げてください。息子の事は心配無用だと。ああそれからカタ餅有難う御座いました。飛行中食べないで一つだけ大事に持って居りますよ。原町の臭ひをかぐ為に。

小生は戦死したならば伊勢に帰らず第一番に思い出多き原町を訪れる事でせう。その時は足が無いからとておっぽりださないでくださいよ。
いろいろとつまらぬ事を書きましたお許し下さい。
皆様の御多祥を心からお祈りして居ます。
それから美喜ちゃん、小生の好きな音盤・白鳥をかけてください。遠い此の地で耳をすまして聞いて居る事でせう。

 六月五日

西部18934部隊気付特別攻撃隊
陸軍軍曹 加藤俊二
同    井上 清

遺族
 三重県鈴鹿市稲生町944
加藤成範 弟