門馬俊之さん挿絵
 臨時議会では、市長がこの頃言い出しているミニ無線塔について再三質問する議員が多かった。
 討論のさなかにて、その場で発言し、質問し、訴える議員もあったが、おおむね市長のアイデアにふりまわされているように見える。
 銀はよろしく堂々と自分の考えを述べるべきだと思っているので、市長もミニ無線塔構想を、実現させるにもさせないにせよ、その行き先はだいたい見当がつく。一昨年のNHKの番組で「無線塔SOS」の台本を書いた。そのとき撮影に使った原町市街ミニチュアと、昭和初期の無線塔モデルを、後で市役所へ寄贈することになったのは、主に当時の放送局長の思い入れがあったからだ。
これは無線塔特別展で出品した高橋清館長が作った精密な副柱空中線アンテナのミニチュア。
注。
 もともと歳末のドサクサで、師走の国民は忙しくテレビなんかろくに見てないし、NHKのえらい人たちも、自社の番組がどんな内容であったかも知らないで意識は職員管理から離れている。
こういうときは、普段意欲的なテレビマンが、はちゃめちゃなドタバタドラマのような番組を、番組表に忍び込ませることがやりやすい。
そういう中に「ポンコツロボット太平記」という、自由闊達な空気の番組放送に成功した。
撮影が終わったら、どうするかといえば、使い終わったのだから「ポイ捨てするだけ」なのだ。
もともとこのロボットはドラマ班の大道具、小道具の世界の道具にすぎないのである。

 NHKから原町市役所へ寄贈されるというその日の朝、同席していた私の前で市長はこう言った。
 「これはガラス箱に入れて永久保存だな」
かたわらにいた市職員に、君きみ、さっそくそうしなさい」と命じたのであった。
 市役所のロビーに展示しておかれたミニチュア模型は、日をおかずして、子供たちが面白がって触れたためか、空中線の復元部分は無残にも壊されてしまった。
 所用で役所を訪れるたびに、自分が嘆声こめて作ったものが、壊されてしまったのを見るのは何とむなしかったことか。
これが問題のぼくが作って市役所に寄贈した無線塔のミニユア模型

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