信夫浦
新古今恋(二) 二条院讃岐
うちはへて苦しきものは人目のみ忍浦の海士のたくなわ
新勅撰(恋一) 家隆
人知れす信夫浦にやくしほのわか名はまたき立烟かな
続後撰恋(二) 同
尋ねはや烟を何にまかふらん信夫浦の海人のもしほ火
続千載同(恋)(一) 式部卿恒明親王
知せはや信夫浦の筌(うけ)の緒の思ひたゆと(た)ふこころ長さを
 同 正三位隆教
いかにせん忍浦の奥つ風(おきつなみ)かけても袖のいろにいてなほ
新拾遺恋(哀傷)  那(邦)世親王
人しれぬ忍浦の夕けふり思ひたつより身はこかれつつ
夫木(雑七) 雅光卿
思ひつついく年(とせ)浪に朽ぬらむ信夫浦の海士たくなわ
 同(冬二) 藤原為顕 
人しれす昔し忍ふのうら衡(ちどり)あとつけ(けつ)波も心あるらむ
御集   後鳥羽院
きのふまで忍の浦の秋の風けふ顕れて波もよけせり

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