●「樺太一九四五・氷雪の門」ロケ
昭和49年7月には、「樺太一九四五・氷雪の門」のロケが内郷内町の炭鉱住宅跡地で行われ旧炭坑に聳える煙突を背景に、終戦直前の樺太・真岡市の繁華街を仮設したオープンセットによる撮影。田村高広、木内みどり等が出演、地元の主婦たちもエキストラとして防空頭巾にモンペ姿で戦時下を再現する場面に共演した。この映画は、反ソ的とされてソ連から抗議されて東宝がひっこめた。しかし公開はされている。
「氷雪の門」J・M・P作品。東映配給。原作金子俊男。「樺太一九四五年夏・樺太終戦記録」より脚色国弘威雄。監督村山三男。撮影西山東男。主演二木てるみ、岡田可愛、藤田弓子、千秋実、島田正吾、丹波哲郎。昭和二〇年八月終戦直後の樺太を舞台に、ソ連の不法進攻に若い生命を投出し、職場の真岡郵便局を守り続けた九人の交換手を通して、戦争の実態を怒りをこめて描く。はじめ東宝はソ連へ遠慮して興行を避け、東映洋画系に上映された。(昭和49・8・17)(発達史V298)
この9人の交換手のなかに、福島県原町市馬場川原田192-6出身の志賀春代さん(当時21才)がいた。昭和20年8月15日の終戦とともに、男子職員と交代して内地に引き上げるように説得されたが、九人の交換手たちは重要通信の機能停止を心配して全員残留を志願し、決死隊として残留した。20日午前7時に上陸したソ連軍は艦砲射撃を加えながら同郵便局内に侵入。同局交換台は「これが最後です。みなさんさようなら、さようなら」と隣接の泊居局に連絡。受話器を耳にあて、キーを握ったまま準備していた青酸カリで服毒自決した。昭和48年3月30日の閣議で叙勲が決定。平成7年に終戦50年を記念し福島出身の製作者守田康司さんらの呼び掛けで全国で自主上映。福島テルサでも9月30日に上映。
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