ryozen●霊山落城がテーマの「霊山の顕家」 昭和5年
「霊山尽忠悲史あすから栄舘に上映」(昭和5年3月2日民友)
〔例の霊山尽忠史劇『顕家卿』の映画はいよいよ明二十五日から福島市連合団では役員会の決議に基き全団員総動員で会員券の分配と諸般の準備を進めてゐるが、同映画の公開と同時に佐藤福島市長の創作池内口脚色になる「世良修蔵劇」も福島第一小学校同窓会の手で演出公開さるることになり同窓生の連中は目下第一小学校内で大剣戟の練習に余念がない、なほ福島市役所では二十三日霊山映画会の名称のもとに挨拶書を全市民に配付した〕
さらに3月27日付では〔珍劇『世良暗殺』佐藤福島市長の作品目下栄座で上映中〕と報じ、佐藤市長が活動写真に演劇に活躍した姿を描いている記事の中に霊山映画の消息がある。
〔原作が佐藤市長といふのでどんなものかと人気を呼んでゐる新劇『世良暗殺』は目下栄館に於て映画『霊山の顕家』を映写する前に上演し喜怒愛楽一派が決死的猛演で観客を喜はしてゐる劇は二幕からなり一幕は『暗殺の密議』で二幕目は『暗殺の場』であるが原作者佐藤市長の言はんとする処は官軍参謀世良を暗殺するに当って福島青年の意気を見せると言ふにあり脚色も全然史実を無視してゐるので一寸奇異な感じを抱かせ郷土研究の権威として聞こえてゐる佐藤市長にも似合はず世良暗殺の顛末を歪めて紹介して居りそれに両刀をたばさんだ福島青年連が何れも町人髷で登場して更に又観客をうれしがらせてゐるがとにかく背景が福島だけに珍劇『世良の暗殺』としてやんやのかっさいを受けてゐる〕
世良暗殺の劇は、福島第四小学校の創立20周年祝賀式で行った。福島市民には顕家よりも世良暗殺の方が人気があったようだ。
(高田龍鋒著「岡和田甫翁回想録 八十五路」)〔霊山の顕家! 全六巻 六〇〇〇尺
出場騎馬武者五十騎 此の撮影費概算金四千弐百八拾円
主演 岡和田一男 吉井真佐子
参加者氏名
主演 岡和田一男
吉井真佐子
助演 佐藤 沢
(中略・出場した騎馬武者の氏名が列挙)
以上の如き豪華な顔ぶれにて原作池内相成 脚色監督高木喜智 撮影は松本保次郎にて使用した馬の数延二百余頭 出場参加人数延千二百名の大きに達したのである。
惜しむらくは此の画期的な記録映画のフィルムも台本も福島市役所の火災により焼失して仕舞ったことであります。今ここに当時の記録を元にして此の記事を認めるとき在りし日の様子が眼前に浮び出て来るのであって当時の参加者との会談も一度はと思考するも無理なことではないと?〕
・当時の新聞は、民報4年10.26.「藩祖伊達公に扮し佐藤市長が映画に」
・民報4年11.15.「霊山史実の映画/撮影の準備成る/お歴々の配役も決って/繰り出す相馬武士七百余/池内教諭の調査を土台にして脚色」
・民報4年11.19.「市長さんなかなかお立派」など写真キャプションを付けてロケ風景を紹介している。
・登場主要人物=岡和田一男、日下金兵衛、佐藤澤(福島市長)、青田常政(電鉄社長)、岡野善三郎、岡野吉郎、吉井広吉(福島市議)、管野松吉、青田国繁、松本富郎、岡和田信子、正木尉、岡和田甫、岡和田嗣男、佐藤卓(県議)その他敵将多数。

 ff 霊山落城がテーマの「霊山の顕家」

 

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