拝復。
現在、千代さまが93歳のご長寿に恵まれておられると知り、誠に驚きました。あたりまえのことながら、私が高校三年の頃の記憶のままに、みどりちゃんのおかあさんのまま、頭の中では、ずっと変わらず、に千代さまは、小高町の駅前通りまっすぐ歩いて行った先の、」左手の林屋局さんのクスリやのおばさんという若い母親像のままです。
瑛女さんは、あの時のまま、ぼくの体の中で生きておられます。
しかし考えてみれば、まことにあたりまえのことながら、いま私は68歳になり、千代さんが志賀勝明さんを「志賀君」と呼ぶような同年代の世代ですから、時空の次元では、記憶の宇宙と現実の宇宙が、神様の思念の中でまじりあい、不思議な錯覚の世界で、千代さまはやはり、みどりちゃんの若いおかあさんのままです。
わたしだけタイムマシンに乗って68歳になってしまい、年下の千代さんを、年下の若いおかあさんにしか感じられないのです。
こんな混乱は、年をとると、みんな感じるものなのでしょうか。
まして、空想の世界で、私の仕事である歴史の復元作業という思念の宇宙では、昭和24年2月当時を計算しながら、安蔵さんが刑務所から、GHQによって解放された若い学徒のまま、弾圧されて、栄養事情の悪き時代で獄中の弁当という粗末な食糧でかろうじて生き延びた。栄養失調のがりがりに瘦せた相貌で出所したが、眼光はするどくやさしく、希望に燃えていた。ためにためつづけてきた思いは爆発するようだった。
すでにこの時、新たな新日本憲法の根幹は出来上がていた。
https://www.tokyo-np.co.jp/hold/2017/imayomu/list/CK2016051602000121.html

日本国憲法第18条
何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。若き日の鈴木安蔵少年を悩またものは、旧制中学の暴力至上主義と自治という美名で隠された生徒間のリンチという蛮風であった。
安蔵は子供のころから拠ってっていたのはキリスト教会の知恵とイエスの教えであった。母ルイから教えられた秘密の呪文と、誓いをくりかえし、念じた。天地創造の神よ。いまこのとき、われを助け給え。われと共に働きたまえ。
この」われのおる中学校はよき伝統のある相馬中学です。しかし、病気に冒されています。自治という美名に隠れて暴力で支配し、わがもの顔で悪魔の風習がまかり通っています。この蛮風を、ともに変るべし。
天地を作り、天地をすべたまふ主なる父よ。
変えるべし。変えなん。いや、すでに父の力にて、相馬中学校は変えられたし。
安蔵の脳裏には、二人に父がいた。
1人は天のましますアッバなる父であり、もう一人は鈴木良夫。すなわち鈴木余生という俳号で小高で名の通った俳人に肉親に父である。
これらの二人の父が混然としてひとつとなった。安蔵の魂は陶酔し、恍惚を味わい、やがて深い平安が訪れた。
そして、安蔵は目覚めるように母から教えられた秘密の呪文と提携の祈りの文句と祈りの空間から覚醒の海上へと浮上してきた。
こうして、すう週間後には、相馬中学から蛮風がいっぺんに消え去った。

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