SLと原の町駅

福島駅と郡山駅の間で、蒸気機関車「復興号」が運転している。
子どもに見せるため、若いお母さんや事務服の女性も立派なカメラを持って撮影に来ていた。
南福島駅から、前照灯を点して、無煙炭の透明な煙を吐いて、ずんずんと近づいて来る姿に、思わず不意に涙がこみあがってきた。かつて原ノ町駅の機関区の検査係として同僚5人と防空壕で死んだ伯父や、兄にあこがれて機関士になった父が働いていた機関区に、小学生の私は、三交代の夜勤の夕刻には弁当を配達しに通った。

黒光りする連結器の下を潜り抜けて詰め所に行くと、安全・整頓・点検という楷書の標語が張り紙してあり、磨かれた木造の部屋は男の職場の快適で機能的な、大人の真剣さ、巨大なメカニズムを、自らの力で動かしている誇りあった。
それらの映像が、フラッシュバックのように脳裏に浮かんだのだ。
常磐線原ノ町駅以南は、いま夏草に隠れて、原発地帯の区間が、途切れたままだ。

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