戦災孤児への聖愛の思い出
福島市の戦後、国から要望された国語学者の三尾砂夫妻は青葉学園という戦災孤児施設を山中で開始した。
孤児たちには、普通の児童よりも愛を注がなければならないのに、自分の子供が生まれてからは、どうしても自分の子供が可愛くて、そういう自分の感情が耐えきれなくなって夫人はキリスト教に救いを求めた。
旧約聖書イザヤ55章に出会って、ついに夫人は洗礼を決意し、その延長にセントルイスの篤志婦人からの結婚祝金142万円を基礎に、青年たちが阿武隈川から石材と砂利を運び手弁当でじゃがいも畑しかなかった福島駅西口に福島いずみルーテル教会を建立したのが60年前のこと。
食糧のない時代に、孤児たちを養い、育て上げた。晩年の三尾夫人と出会って、死後その逸話を「福島県史」で知り、3日来訪した初代牧師から60周年記念式に聞いて知った。
戦災孤児も青葉学園も、もう知らない市民ばかりだが、語り継ぐ責任と三尾夫妻への崇敬を改めて思った。
二上英朗 ふたかみ・ひでろう
南相馬市歴史専門調査員
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