原町無線塔、朝日座など福島県南相馬市原町区(旧原町市)の文献を公開

憲法冊子の配布に込めた南相馬の思い

憲法冊子の配布に込めた南相馬の思い

 五月の朝早く南相馬市の中堅市議が突然の訪問。昨年民報に投稿した「日本国憲法は南相馬市生まれの憲法学者鈴木安蔵草案をもとに発布された」という内容に共感して、急に会いたくなったのだと言う。
 原町高校一年生のとき、ガマ先生というあだ名の社会科教諭が一学期を費やして日本国憲法の前文を熱を込めて講義したときの、あのときの輝くような興奮を、田舎の少年の魂に注いでくれた情熱について熱弁していった。
 ガマ先生は全病院の退避閉鎖で17日間人工透析できずに亡くなった。
 市議会は改憲をうたう保守自民系も全員一致で半世紀ぶりに「日本国憲法」全文を各戸配布した。いま憲法が保障する基本的人権と最低限の文化的生活が脅かされている、まず憲法を読もうとの市長のメッセージが掲げられている。
 普段は政争の激しい故郷の政界が、困難な状況でよくぞ決断した。
 住民の若い魂に刻んだ憲法への感激と精神をも確実に記録し伝えたい。
  昭和40年代の、わたしの高校生時代に原町市憲法を守る会というグループがあった。朝日ジャーナル友の会、はらまち自治研究会などの革新系の先輩がたに交じって薫陶を受けた。
 そうした中から自然発生的に、日本国憲法の全文を小冊子にして全戸に配布するよう、時の市長山田貢氏と議会に陳情し実現した。
 山田氏はもともと終戦で台湾での学校教員から復員し、戦後は福島県の農業技手として農村改善の指導員として相馬地方の一次産業の中核層の支持で県会議員に転身し、やがて押されて労組など革新層のプッシュで三代目の原町市長になった。
 とうじ国会で最大野党だった社会党の公然の推進に加えて、保守派の支持を取り込む方向で立ち位置をずらして民社党に鞍替えし、自民票も抱えた。
 革新派は古巣であり、自治体のトップ首長の一存ということもある。
 現在の南相馬市は10年前に北の鹿島町および南の小高町とへ世の合併で誕生したが、自民系保守議員団が、原町市時代に制定した核廃絶宣言都市宣言を、新市として引き継ぐことに反対してきた。
 憲法を守る会の後継の「九条の会」の運動で、ようやくあらためて「宣言」の看板が市役所庁舎に掲げられた。自民議員の中には、党是で核兵器を持つ、原発は推進するという以上、地方市議団もこれに従う、とこだわる者もいた。
 安倍首相がいよいよ自主憲法実現に向けて参院選を征服し、改憲への道を明確にしたいま、どのようなレベルで「日本国憲法」の全戸配布に同意したのか興味のあるところだ。
印刷費や経費で90万円ほどの市税が費やされたが、高齢化対策だろう、以前の小型で超細字活字の憲法に比べると、文庫版で活字もほどよい大きさだ。
 かつて、憲法発布の内閣の署名のページを開いた憲政資料館コーナーで、学生の時に実見した原本を記憶に思い出しながら、みずいろの表紙の南相馬市発行のバージョンの日本国憲法を見ながら、小高町の鈴木安蔵博士の実家をガイドする次の機会をこころに温めている。

鈴木安蔵の「心の声」

 心の声 鈴木安蔵

はらまちキリスト教100年史

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