家のまわりにむくどりをよく見かけた。この鳥を村人は大高すずめと呼んでいた。当時、高瀬川の岸辺の砂地には、はまなすの花が咲いていた。この花を村人はだんぶの花と呼んでいた。
 山住み
大高すずめ。巣を懸くる
この山里の詫び住みも
慣れてはたのし、きのうけふ
春の日永に堪へもすれ。

大高すずめ、巣ごもれる
柿の古木の木の洞うろに
淡青うすあをいろのうづ卵
けさ初めてぞ見出でたる。

大高すずめ、えしやえし
めぐし卵の青球あをたまは
双手にうけて、ころがせば
光り翳りのあやのよさ。

大高すずめ、鳴かば鳴け、
いたづくこころすべをなみ
双手に卵ころがしつ、
春の日永を暮らしつつ。

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