原町無線塔、朝日座など福島県南相馬市原町区(旧原町市)の文献を公開

 NEC関連企業が産廃買収で原町に日本一のゴミ捨て場?

NEC関連企業が産廃処理会社「原町共栄クリーン」を買収

政経東北2000年1月号より

「原町共栄クリーン」(原町市)という産業廃棄物処理会社がある。十年三月、県から管理型産廃最終処分場設置の許可を受けたが、いまだに工事着手していない。最終処分場は宝の山、会社を丸ごとNECの関連会社に売却する話が進んでいる。そこに「事件屋」の異名を持つ竹内陽一氏が登場、NECに揺さぶりをかける一方、「オレが関与しなけれぱ、売却話はまとまらない」として、関係者に圧力をかけている。

(株)原町共栄クリーン(原町市大みか字酒井一五一)は三年八月設立。資本金は一〇〇〇万円だったが、十一年七月二〇〇〇万円に増資。事業目的は、
1.産業廃棄物最終処分業、
2.産業廃棄物中間処理業、
3.産業廃棄物収集運搬業。
十年三月三十一日、同社は県から管理型最終処分場設置の許可を受けた。場所は原町市大蜜字田堤地内(五四筆)。総面積九万六二八三平方片、埋め立て面積約六万平方折、埋め立て容量約八九万立方餅。許可の種類は
1.燃え殻、
2.汚泥、
3.廃プラスチック、
4.ゴムくず、
5.金属くず、
6.ガラスくず及び陶磁器くず、
7.鉱さい、
8.がれき類、
9.ばいじん、
10.紙くず、
11.木くず、
12.繊維くず、
13.動物性残漬、
14.動物のふん尿、
15.動物の死体の一五品目。特別管理産業廃棄物を除く産業廃棄物で、許可されていないのは、廃油、廃酸、廃アルカリの三品目。処分料は一立方折あたり一万八OOO円前後。最近、処分場が増え、一万二〇〇〇円前後に下落すると予想する専門家もいる。 埋め立て容量は、有機物がガス化して目減りするから、実際は二倍近くに増える。したがって、一立方・一万五〇〇〇円とすると、二六五億円の売り上げが期待できる。工事費はせいぜい数十億円だから、いかに「おいしい」仕事かが分かる。ただ、管理型最終処分場は、埋め立てが終わっても水処理の義務があり、数十年にわたって月数百万円の費用がかかる。最終処分場は宝の山、営業すれば、金が入る。にもかかわらず、許可から一年九ヵ月たつのに、用地を取得していない。もちろん、工事も行っていない。いうまでもなく、最終処分場を設置する際の最大の難関は地元住民の同意。原町共栄クリーンも、それで苦労したものと思われる。住民と交渉にあたった人物は、かなりの「金べろ」だったのだろう。商業登記簿謄本の役員欄をみると、役員間でトラブルがあったことがうかがえる。
役員は当初、代表取締役相葉政宏(土浦市港町三丁目二五-二〇)、取締役狩野勝、我妻和彦、監査役烏山正義の各氏。
会社設立から一年一ヵ月後の四年九月、代表取締役の相葉政宏氏が取締役、取締役の狩野勝氏(いわき市勿来町窪田西殿町四九-一一)が代表取締役、八年六月、山村修一氏が取締役に就任した。(この間、登記を一回おろぬいている)。そして、狩野、相葉、我妻、烏山の四氏が六年九月、山村氏が十年九月、退任している。(登記は、いずれも十年十月登記)新役員は、代表取締役千葉實(横浜市青葉区美しが丘四丁目四四-一九)、取締役中村豊、中平洋祐、監査役塚田竜堂の各氏。十年十月、代表取締役の千葉氏が辞任、取締役の中村氏(静岡市向敷地一二二–一)が代表取締役、島村薫氏が取締役に就任した。
ところが、中平氏と島村氏が十一年八月辞任、新たに、代表取締役持田栄二(横浜市都筑区すみれが丘一〇-二二)、取締役中西雄三、戸田明、監査役中部裕司の各氏が加わり、十一年十一月、持田氏が代表取締役から取締役になった。
整理すると、現在の役員は、代表取締役中村豊、取締役持田栄二、中西雄三、戸田明、監査役塚田竜堂、中部裕司の各氏。
商号、住所、代表などが変わったときは、許可権者の県(地方振興局)に届け出なければならないことになっている。

NEC関運会社「高和」が買収

十一年十一月二十二日、相双地方振興局に「中村豊氏と持田栄二氏が共同代表になった」と報告があったという。しかし、持田氏の代表取締役辞任は伝えていない。
処分場用地は未買収だが、十一年八月、(株)共栄プラント(いわき市勿来町窪田西殿町四九-一一)が賃借権を設定している。賃借料一坪月一二〇円、存続期間二〇年。共栄プラントの本杜は、狩野勝元代表取締役の住所と同じだから、狩野氏の会社とみてよい。現在役員でない人の会社が賃借権を設定するのは、どうみてもおかしい。「地位」や「権利」などをめぐって、訴訟になっているのは容易に想像できる。

さらに、十一年十二月七日、前記賃借権は仮差押(水戸地裁土浦支部仮差押命令)されている。権利者は相葉紀代氏(土浦市港町三丁目二五–二〇)。相葉政宏元代表取締役の住所と同じだから、夫人だろう。相葉氏は狩野氏・共栄プラントに何らかの債権があり、訴訟を起こした。その前後に相葉氏が亡くなり、身内が債権を継承したとみてよい。
原町共栄クリーンの取締役中西雄三氏、戸田明氏は、NECの関連会社「高和」の社長、専務である。
(株)高和(本店・川崎市中原区中丸子三四七、東京本社・東京都品川区南大井六丁目二六-三)。昭和四十四年設立。事業内容は、ビルメンテナンス業、資源循環(産廃)事業。資本金五億四四〇〇万円。従業員八四六名。年商二二八億円(十年)。
役員は、代表取締役中西雄三、専務取締役戸田明、取締役石井贈政(NEC支配人)、山口耕二(NEC環境管理部長)、牛腸徹雄、桐山卓司、本名英夫、熊倉三千代、石黒征男、松本正重、岡村春行、監査役岩城勇、鈴木弘喜(弁護士)の各氏。来年秋、東証二部に上場するという。
原町共栄クリーンが増資した咋年七月、高和が買収したものとみられる。高和が、これまでいくら注ぎ込んだかは分からない。
周知のように、家庭用電化製品・パソコンなどは一般廃棄物に分類され、地方自治体が処理している。現在、その負担をめぐって、メーカーと地方自治体が綱引きをしており、近い将来、メーカーの製造責任が強化されるのは必至。そのため、NECが系列の処分場を持ちたいというのは理解できる。だが、NECは日本を代表する企業であり、姑息な手段で処分場を取得するようなことは許されない。
竹内陽一氏は今年の夏ごろから、紺野実氏に『国会新報』というA3版四頁の新聞を発行させ、NEC・高和攻撃を始めた。紺野氏は、竹内氏の元運転手で、PGF白河カントリークラブの運営会社⑭三幸通商の、元清算人。これまで、竹内氏が絡んだ経済事件にたびたび登場している人物。
手元に『国会新報』(十一月二十日付、一〇七一号?)があるので、見出しを拾ってみる。
「NEC西垣、(株)高和中西に司法の包囲網迫る」「NECは(株)高和を切るべし、重ねて間われる社会的責任」「高和役員の九割はNEC関係」「暴力団と絡む(株)高和に二部上場を赦せば、中西社長約150億を手にする」
(二面)
「福島県当局、原町共栄クリーンに重大関心」「広域暴力団に乗っ取られた原町共栄クリーン、処分場許可取り消しもあり得る」「(株)高和・中西雄三社長の行為と西垣浩司NEC社長の疑問点」
(三面)
竹内氏は昨年十一月、主宰する月刊雑誌『官界』の名前で、NEC幹部に取材を中し込んだ。NEC側は竹内氏の身元調査を行い、取材に応じなかった。賢明な判断だったといえる。竹内氏は、形通りの取材の後、「ところで」と本題に入る。そして、費用をかけて調べた会社(幹部)のスキャンダルを示す。相手の当事者能力を奪ってから、「仕事」に着手するのが、彼らのやり方だ。
一方、竹内氏は高和の本社を数回訪れ、「原町共栄クリーンの買収は正当なM&Aではない」と圧力をかけた。竹内氏の狙いは、はっきりして、原町共栄クリーンの元役員、あるいはミニ事件屋、ブローカーと接触、内部事情を知った。彼らが、竹内氏を頼っていった可能性もある。竹内氏は彼らから「権利」の一部を買い取り、当事者の一人になる。そのうえで、原町共栄クリーンを混乱させ、工事が進まないようにする。
一方、「混乱を収拾して、営業を可能にできるのはオレだけ」と売り込む。それに応じるのは、竹内氏の思うつぼで、いくら吸い取られるか分からない。下手すると、処分場を乗っ取られかねない。トラブルの責任は県にもある。地元住民の同意は当然としても、申請者の資金力・経営力を厳しく審査したのかどうか。処分場は宝の山。買い手はいくらでもいる。資金力・経営力がなくても、調子のいいことをいって許可を取り、それから会社ごと売ればいいのだ。だが、管理型最終処分場は埋め立てが終わっても、長い間、水処理をしなければならない。それだけに、しっかりした業者でないと禍根を残す。
住民の同意を得るのが難しいこそから「その道のプロ」と称する連中が暗躍、最終処分場設置を望む業者をたぶらかし、大金をせしめる事件が県内で多発している。県当局が、こうした詐欺の片棒を担いでいる面もあるのだ。
県当局は、何かあると「そこまでチェックできない」とか「民間の明題だ」とかいいわけする。しかし、許可した責任があるのだから、申請時も許可後も厳しい対応が必要だ。県当局は、そういうことをどれだけ認識しているか。ところで、狩野一兀代表取締役は咋年十二月八日、私文書偽造などの疑いで、警視庁・大井署に逮捕された。高和東京本社が品川区南大井で、大井署の管轄だから、原町共栄クリーンと関係があるのは確かなようだが、事件の詳細はいまのところよく分からない。


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