大正10年 福島日日
12.15. 歳末の原の町
 商店の装飾や門松屋が
  漸く暮れ気分を啜る
本年も余す処十四五日で愈春気分が見えて来た原町方面では新暦よりも旧暦を用ひる向が非常に多いがそれでも
諸郡衙と一部の智識階級で用いている向もあるので町内の各商店ではそれらの家庭向の贈答品の陳列や装飾華やかな春気分を色付け相当に賑って居る其の内植木屋門松屋はぼつぼつ支度に余念がないかこれ等は可成りの儲けがあるから相当に
繁昌するであらう本年は一般に不景気であるから賃餅屋などは殊更閑散の模様であるそれに引替て呉服屋の店頭と魚屋は又一倍景気がよい其他一般の景気は沈静して居る模様である会社や官衙方面の月給取はボーナスの御入来で首を長くして待ち兼ねてゐるが殊に忘年会はボーナス如何に依ることであるからまだ新趣向も見えない様である

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