80 馬について
日本の在来種として各地に現存している馬は、北海道和種馬、長野県の木曽馬、長崎県の対州馬、沖縄県の与那国馬と宮古馬、鹿児島県のトカラ馬および宮崎県の御崎馬である。
これらの馬はいずれも数が減少し、放置しておけば絶滅の危機に瀕する。北海道和種馬は約千頭現存している。適切な保存対策がされれば、こうした貴重な種を保存できるか、も知れない。
日本の馬は、すべて蒙古馬の刑と鵜である。永年のあいだに書く地の風土に適合して特徴ある主となった。北海道には馬はいなかった。
アイヌは馬を知らなかった。北海道のウマの歴史は、開拓の歴史二重なる。道南の海岸に面する所から主として漁場の開拓に関係する。和種馬は、漁労と農耕運搬に使役されつつ、本土からやってきた人間とともに生活圏をひろげてゆき、やがて漁期が終わるとそのままうち棄てられた。また春になると本土から馬を連れてき本土の人画やってくる。この繰り返しで、馬は北海道にへともたらされた。その日本原産のバリエーションとも言える馬が、今では貴重になってしまった。馬たちは厳しい冬をヒグマやオオカミからのがれなければならなかった。持久力のある小柄のドサンコがこうして誕生した。
七月十二日の日曜日、福島競馬最終日に、甲冑競馬を見に行った。うだるような暑さは名にしおう信夫の里の盆地特有でねっとりしている。じっと立っているだけで汗がねばねばとまとわりつく。
第五レースまで、最終日は荒れるというとおり、コースをはずれる馬がでたり、大穴が出たり、それを期待して詰め寄せる客も多い。正午から始まる相馬野馬追甲冑競馬のアトラクションは、すでに福島競馬場ではおなじみで、弁当とお茶を拡げた家族連れの客らは、のどかに「ああ、相馬の野馬追か」などと、受け止めている。
「おじさん。相馬野馬追をご存知ですか」
と尋ねると、
「ああ。毎年、ここで見てらあ」
との応え。整備され美しいとさえ形容できる競馬場では、すべてが管理されていて、しかも馬の好きな群衆というよいはみゃっぱり丸いものの好きな人の群れなのである。
正面にオーロラビジョンという大画面の電子装置が設置されていて、パドックや他の競馬場の中継などを逐一映す。これによって収益がどっと増えたという。
この日だけで、百八億円の売り上げだという。ふりかえって我等の相馬野馬追は、すべての費用をひっくるめて何千万円の規模である。しかし、その値打ちは億万のものだろう。
観光収益として考えるのなら、スタンド

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