大人気の“街録” 小高町を祭り一色に塗つぶす 農民文化祭
昭和23年11月9日民報
一割増産を祝う相馬郡小高町の農民文化祭は、七、八の両日小高町で盛大に挙行、町の飾りつけや各種の催し物でこの日はにぎやかな祭り一色に塗りつぶされ近郷近在からの人出で埋まった、とりわけ相馬地方では初めての七日小高郵便局前でのJOHK(仙台)の街頭録音“一割増産を顧みて”は大人気で発言者が続出
先ず「一割増産は出来ましたか?」というアナウンサーの問に大部分は「天候其の他の関係で残念ながら出来なかった」と答え「一割増産についての苦しい体験談」として「さつき時に娘に死なれたが大事な一割増産なのでそれを放つて置いて田植をした、農村にはこういう精神的な苦しみも或る」という訴えあり「何が増産のさまたげたか?」となるとみんなここぞとばかり「電力料金の値上が響いた」「事前割当は増産分を含めてはダメだ、実収高の平均によらねばならぬ」「超過供出は来年の過重割当を心配するのが農民心理だ、供出完遂後は自由販売制をとれ」「農家の報告物は一つでも沢山にしろ、実際ははん雑すぎる」「保有米は八合なければ足らぬ」「ワラにまで課税するのはワラが次年度の生産原料であることを知らぬのか」「米価は俵千二百円が妥当だ」「早場米は  地理的条件を考えて陸稲地帯にも適応せよ」「   が一度に来ては支え切れぬ」「一割増産は掛け声だけでさっぱり技術指導をしなかった」「コメの買入価格に等級をつけて販売価格にないのは中間搾取だ」などなど……三十分の放送時間をタップリ一時間、日ごろの農民のうっぷんを打ちまけた
この録音は十一日午後零時半から三十分間東北地方向け(出来れば全国向け)に放送される

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